少年野球の先にある未来の扉を開けよう

学童野球ではエース、中学硬式ではショート、ボーイズ県選抜の息子と悪戦苦闘した経験を踏まえ体育大学体育会陸上部出身のお父さんが体育理論を基に野球を客観視した情報を綴っています。

情熱 失意と歓喜 そして受け継がれるもの

上手になりたいと思う気持ちはいわば動機付けの最も重要な要素を占めます。しかしその動機付けが無いとなかなか上達に向けての意欲が明確になりません。クラブチームや部の活動は勝つためだけに存在していないのは先に書いた通りですが動機付けが上手くいかないと練習による技術習得意欲が上がりません。

ではその意識はどのように醸成されていくのか?情熱を持って取り組みその上で出た結果に対し大きく失意を持ったり勝利して歓喜に湧いたりそんな姿を見て未来の自分を描きまた自己実現の目標を定めるように感じています。

長男が6年生の時マクドナルド杯の市予選で相手チームの親から嫌な言葉を投げかけられ悔しさから号泣しそれに釣られチームが動揺し結果敗戦、しかしその後泣いていたのは息子だけではありませんでした。チーム全員が号泣しました。実のところはマクドナルド杯県大会に出場したく袖のワッペンが欲しく頑張ってきてそれが果たせなかった悔しさだと分かりました。

先輩達を見てそして他のチームを見て自分達が達成できる自信と努力してきたからこその悔しさだったと思います。

先輩達から受け継がれる良い失意と歓喜を見てそして後輩はそれを超えようと目標を見定めることにより強い動機付けにつながるとも感じています。これは指導者が強制するものでなくそのチームの良き文化として根付かせることが重要でプロ野球選手や甲子園で見る高校球児が身近な目標でなく、同じチームの先輩達が一番身近な目標だと感じています。そのチームの環境を作っていき良き文化を継承させ続けることが指導者の務めであると感じています。

vol.8 心理②

次はアスリートとして成功する思考パターンについて触れたいと思います。一般的にはプラス思考が良いとされています。強い自己実現欲求を持ち全ての事象を前向きに捉えて前進していく思考を持つことで成功すると考えられています。

若年期であればくよくよしない叱られてもすぐに回復する性格のことを指します。中学生や高校生になる頃には精神的な成長も果たしているのでもっと踏み込んだアスリート思考が必要になります。

それは自己分析する思考です。なぜできたのか。なぜできなかったのかを思考することです。できなかったことは課題だと捉え、できたことは成果だと捉える思考です。

常に前を向き進んで行くことが重要なのです。しかし近年では一部マイナス思考を持つトップアスリートもいることが分かってきています。マイナス思考と言ってもくよくよしていつまでも塞ぎ込む性格でなく、いつも不十分でありなぜ上手くいかないかを考える思考パターンです。プラスでもマイナスでも辿りつくのは要因分析する力が大切ということです。マイナス思考は防衛思考が強いため常に予防する思考が働きます。失敗しないためにはという考え方です。それを高いレベルでも繰り返すことで成長するということです。武道の精神に近いですね。常に気を緩めずいつまでも修行し高いレベルを追求する求道精神です。

プラス思考にせよマイナス思考にせよ重要なのは反省し良い点は成果としてどう続けていくかもしくは次の段階へのステップと考え悪い点は課題と捉えて克服していくことが重要です。

感情に支配され一喜一憂することに終始していては成長は見込めないということです。

 

この思考に持っていくためには親との関わり合いが重要です。成績が悪く落ち込んでいる子供にさらに追い討ちをかけて叱ると感情防衛思考が活発に働きさらに落ち込んだり、親の言うことだけを気にするようになります。それでは反省し課題を発見しクリアしようとする思考が育ちません。

親としてのアプローチは良かったことできたことを伝え成果を共有することまたできなかったことを一緒に考えるというアプローチです。まずは考えさせるために質問とヒヤリングが効果的です。

 

スーパーお父さんシリーズはこれで終了です。選手とそばにいるサポーターという立ち位置を作り子供の自立と自律を促しアスリートとして成長することを家族の楽しみに持っていき、子供の成長と親としての成長を共に果たすことが重要だと思います。

vol.8 心理①

いよいよ最後の項目である心理に触れたいと思います。しかし心理と言っても広範囲なので分けて説明しようと思います。ひとつ目は欲求について、ふたつ目はスポーツ選手におけるモチベーション、みっつ目はプレー中の心理動向についてです。

まずひとつ目の欲求から説明していきます。マズローの5段階欲求という考え方があります。

生理的欲求、安全欲求、所属的欲求、承認欲求、自己実現欲求という段階です。ひとつのことが満たされると次の段階の欲求が出てくるという考え方です。生理的欲求は食事や住居など生きていく上で必要な欲求です。安全欲求は安全を身につけたいというものですがこの二人はが保証されている家庭でないと野球は基本的にはできないので省きます。次が所属欲求であり何かの団体に所属したいという欲求です。家族、会社、学校そしてチームです。野球チームに所属し友達がいて毎日楽しいというのはこのレベルです。野球というスポーツに意欲がまだ薄い時期にいじめられる、コーチに叱られるなど所属する意欲を失うことが多いことが野球チームという団体に所属したくないという心理的な欲求なのです。毎日が楽しいそして野球チームに所属する意義を見出したところからが重要なのです。次が承認欲求です。自分が認められる、野球をやって成長できていることを認めてもらえるこの欲求です。チームでは比較的厳しい場合がありますが家庭ではこの承認欲求こそ大切にしなくてはいけません。試合で負けた理由や失敗を指摘していてはこの欲求は育ちません、良かったことを見て褒めてあげること親はいつも味方であることスランプやプレーの悩みを指摘する場でなく一緒に考えてあげる場が家庭ということです。承認され自分の味方がいるということに慣れるといよいよ自己実現というステージに入ってきます。自分がどうなりたいか、何を目指すかというステージです。親の厳しさや圧力でそう見せている場合もありますがその点は注意が必要です。

子供は親の所有物ではありません、ひとつの個なのです。

自己実現領域の欲求を持つことでようやく自分で努力しようと考え始めます。欲求も段階的です。欲求の質を踏えた親子の関係性は素晴らしい関係性になるでしょう。

また上達を早めるスタートラインなのかもしれません。

vol.7 道具②

道具の続きですがグローブを例に取り道具の重要性について専門的観点から述べていきます。

まずグローブは革製品です。また打球を直接受ける道具であり守備に取って最も重要な道具です。道具の見極めはどのような考えで行うべきかということからお伝えしていきます。

まず子供はどのようなプレーヤーなのか全てはそこが重要です。初心者なのか上級者なのか初心者であれば基礎技術を学ぶ上でその邪魔をせず習得技術のサポートする観点です。前回も述べましたがまずは掴めることが優先されます。耐久性はその次、ブランドや価格もその次です。

では上級者はどのような観点で選ぶべきか、それはそのプレーヤーがどの様な捕球スタイルかによります。中南米の選手のようにシングルキャッチがメインであれば指先の丈夫さが重要です。また日本的に当て捕りが重要ならば手のひらの張りがありシワがよらないまたグローブの深さもプレースタイルによって好みが異なります。

まず自身が持つ技術をどう生かすかそしてどう補助するかを考えましょう。それに合致するグローブを探すことが重要です。

しかしグローブを生産するメーカーは商売なのでどう買って頂くかが重要なのです。この辺りで売り手と買い手の認識が若干ずれます。生産者側は色、使用プロ選手、ロゴなど見栄えや流行が大切です。いかに欲しくさせるかということに長けているということですね。ブランドやグレード、カラーはたくさんあるがグラブの浅さに段階があったり捕球から考えた革素材のバリエーションは少なかったりします。

グローブのグレードは以下の通りで決まってきます。革は若い牛の革は値段が高くキメが細かい、いわゆるカーフと言われる革です。また歳を取った革はステアやブルと言ったキメが粗く伸びやすい革を使います。上級モデルはいわゆる若い革を使うケースが多いということです。ただしここからは専門的ですが原皮まで知って買っているユーザーは少ないです。海外の原皮それも暑い気候、寒い気候で育った牛の環境でも異なります。また海外の皮は検疫があるので薬品につけてから日本に入ります。しかし日本生産の皮はそのプロセスが省かれます。

その為革が丈夫と一般的に言われています。キャッチャーミットに良く使われる理由です。

また皮を薬品につけて革にしていくプロセスをなめしと言います。このやり方でも革の個性が異なります。素材だけでも原皮、なめしという工程を経てようやくグローブの使う素材になります。

原皮の繊維の状態、海外製か国産か、皮膚の厚さ、なめし加工手法によって革の出来栄えが決まります。

次にグローブの中にある骨の代わりである芯材の話しです。芯材はプラスチックの板をウールもしくは化繊で覆ってできています。これもグローブ工場によって個性が異なります。天然素材の方が馴染みが良くソフトしかし化繊の方が丈夫という素材の違いまたプラスチックの硬度と厚さも工場によって異なります。

そして最後に型紙と言われる設計図です。動きがと伴いキャッチを想定した立体構造です。計算されたグローブは閉じた時を想定して作られているので手のひらにシワが寄りにくく関節部分で折れ曲がります。これもグローブ工場によってその作り方は異なります。基本の型紙をベースに指だけ長さを調整している工場、立体物なので品番が異なれば型紙そのものを1から作る工場もあります。

当然一から型紙を作り全てが計算されて生産された方が良いのは当然です。ただしそれができるできないは職人の腕次第なのです。

そして縫製、組み立ても箇所によってミシンを使い分けている工場、一つのミシンで組み立てている工場もあります。

このようにグローブ一つ取っても非常に複雑な要素が積み重なり出来上がっています。このような複雑で見えにくいからこそ、ブランドやイメージ先行で買われてしまう要因かもしれませんね。

素人では知ることが叶わない要素も多いため、このことを良く知っている販売員がいるお店で購入することをオススメします。どのようなプレーヤーになりたいか、そこにはグローブは欠かせないパートナーなのですからお店で相談してベストに近いグローブを選ぶことが大切なのです。

紙一重の差でレギュラーになるかもしれない時グローブが助けてくれるかもしれません。

 

どんなグローブが良いか気になる方は直接お問い合わせ下さい。

vol.7 道具①

今回は道具について述べていきます。道具はプレーの二の次と思っている人とカッコよさで選んでいる人がいます。どちらもあまり好ましくありません。道具は自分のプレーを反映するのも、または足りない習熟度をカバーしてくれるものです。

学童期間と上級者になった時両軸から考えてみます。まず野球を始めたばかりの学童期で良く起きることですが、握力の無い子供に立派なグローブを買い与えている場合や重すぎるバットを持たせるシーンを良く見かけます。

まずグローブは機能云々よりもとにかく柔らかいものを選ぶことが優先されます。あまり商品を限定するのは良くありませんがミズノのワイルキッズシリーズは豚革を使っているのでとにかく柔らかくなります。ボールは掴まなくてはならないのにグローブが硬すぎるが故に掴むことが出来ず挟んだりグローブを網のように使うようになってしまいます。それはそのまま上達を妨げる原因となります。バットも同様です。野球を始めたばかりの子はそもそもバットが振れません。振りながらボールに当てるなんてとても困難です。とにかく軽く振れるバットで野球人生をスタートさせて欲しいです。思いっきり振れるそしてコントロールできる重さで十分です。

体力の向上と技術の向上に合わせてアップデートすることをオススメします。

では上級者は何に気をつけるべきかということですが、中学硬式の上級生あたりで上級モデルを購入するケースを見かけます。間も無く高校生なのでレベル的にも問題無いと思います。

では何を判断基準とするかですが、グローブにしてもバットにしてもスパイクにしても生産者が色々考えて生産しています。その本質を知ることが大切です。ただしその見極めは困難を極めます。専門家でないと分かりません。

では専門的観点からグローブについて考えていきます。グローブは天然素材である革とグローブの骨に当たる芯材、そして縫い合わせるステッチ、そして立体物であり動作を伴うため型紙である設計図という要素に分解できます。今回はここまで、次回はグローブの本質的な見極めについて述べ道具全般について考えていきます。

 

vol.6 運動動作②

運動動作の2として運動動作をどのように分析していくかというテーマですが、学問的には非常に難しい計算式を用いていくのですが、そこまでやる必要はありません、では簡易的に進める方法ですがプロや上級者の中でも専門家がお墨付きを出している選手を参考とし真似をすることです。

しかし真似も前回書いたように大きな力を発揮するところから真似ていくことをオススメします。真似る動作があれば比較対象になります。30年前であればビデオテープに取らないと見れませんでしたが今ではスマートフォンで簡単に動画が撮影できます。撮影した動作と参考選手の動作をスローモーションやコマ送りで比較していくことで差が見えてきます。最初はここから始めることをオススメします。

次に動作撮影と比較を何度も行うと子供の動作が頭の中にインプットされます。動作を漠然と見てもあまり変化が分かりませんが、目をつぶっても動作がイメージ出来るようになれば日々のちょっとした変化に気づくようになります。変化を感じたらその部分を中心にコマ送りして見ることで違和感の原因を発見することができます。

ビデオも使わないのに動作の変化に気づく指導者がいますがそれは対象選手の動作が頭の中にインプットされています。とかく優秀な指導者はその能力が啓発されています。

当然親であればそんな能力は無いので息子だけを見て日々の変化に気づくことが大切です。

次に撮影した動作を使い上達につなげる方法を紹介します。親は子供のことを色々言いたくなります。しかし言い過ぎは良い効果を生みません。その代わり自分を撮影した動画こそが自分のコーチになるのです。本来であれば動作を行なった20秒以内に見せることでイメージと動作の実感が残っており客観的な情報と比較して修正点を把握することができますが、野球の練習中では無理なので練習後や試合の後に見せて考えさせることでイメージと実際の動きの差を見つけることができるようになります。そこで改善されたこと出来なかったことを自分で正確に理解できれば改善は早くなります。

最初は出来なくても回数を重ねることで見る目がついてきます。親の立場としては言いたいところですが、動作を支配しているのは本人の脳です。脳が感じていることと実際の動作には差があることを知りどう直すべきかを知ることで修正情報を脳が出しやすくなります。これが上達の近道です。運動能力が優れておりすぐ動きをマスターする子はこの能力が長けているのです。

親子のコミュニケーションとしては親が考える良いところと悪いところ、子が動画を実際に見て考える良いところと悪いところの答え合わせをすることです。もはや自分で理解できていればわざわざ言うことは無くなります。指摘でなく改善案を考えるアドバイザーになることが大切です。

vol.6 運動動作①

専門用語ではバイオメカニクス、少し昔はキネシオロジーという名前の学問です。このバイオメカニクスを考える上で重要なのは、運動動作というのは力を伝達する動きのことです。

なので力の発生源は何かということそしてどの動作の力が最も大きいのかということそして大きい力を伝えるので怪我しにくい動作を両立させることが重要です。

技術を教える指導者並びに親として知っておいて欲しいのは例えば投球における大きな力は何かということを知りそれをどのようにリリースまでに増幅させるかとういことがベースになります。とかくリリースや手首を気にすることがありますがそれは最終局面であり優先順位が高いことは他にたくさんあります。

投球を例に取り考えてみましょう。マウンドの傾斜を利用して体が捕手側に動く並進運動と体が回旋する回旋運動の力そして踏み込み足を地面に着いた時の地面反力が一番大きな力です。まずこの3つをスムーズにつなげていく動作を優先的に進めるべきです。大きな力が働いている方向を手首の力だけで変えることは難しくどのように投げ出されるかが重要です。自動車だとエンジンの動力をタイヤに伝えて走ります走っている自動車が突然ブレーキ無しに90度曲がることは不可能です。慣性という動いているものは動き続ける法則により突然のブレーキや方向転換が難しいということです。そのためまずは正しい足の位置、ヒップファースト等正しいマウンドからの移動、そして正しい回旋した上で腕が振られてきます。この辺りの一貫性を動作で繋げていくことが重要です。

次に怪我予防の観点からですが骨と骨を繋ぐのが靭帯いわゆる腱です。筋肉が動力、靭帯は繋ぐものです。従って大きな動力で投球動作が行われているときに靭帯や骨に過剰なストレスが掛かったら障害につながります。運動のような大きな力が靭帯に掛かればそれを想定した強度ではないので障害に繋がりやすいのです。

プロ選手でも肘の怪我のことが良く報道されていますがフォームのどこかにストレスが掛かっていたのではないかと推測されます。

まず知らなくてはならないのは、末端でなく大きな力が働いてるところから手をつけること末端は最後で良いのです。

そして関節や靭帯にストレスがかかりにくい動作とあわせ持ちフォームを作っていくことが大切です。

今回はこれくらいで終了。次回は子供の動作をどう客観視するかというテーマで運動動作を考えていきます。