少年野球の先にある未来の扉を開けよう

学童野球ではエース、中学硬式ではショート、ボーイズ県選抜の息子と悪戦苦闘した経験を踏まえ体育大学体育会陸上部出身のお父さんが体育理論を基に野球を客観視した情報を綴っています。

vol.5 栄養

栄養というカテゴリーはまさしく親の仕事、これだけでもずいぶんと差が付きます。最低限覚えておく必要があるのは3大栄養素と消費カロリーと摂取カロリーの比較です。

3大栄養素ですが、体を動かすガソリンになるエネルギーの素である糖質、熱効率は悪いがエネルギー効率の高い脂質、そして体特に筋肉を作る材料となるタンパク質この3つです。

詳細な栄養素に入る前に消費カロリーの話しをします。良く運動する15歳くらいは最低でも3000キロカロリーは1日で消費します。練習量が多くマル一日となると4000キロカロリーを消費していることもあります。反面摂取カロリーが2000キロカロリーしか摂っていない場合マイナスになるので体に貯めている脂肪が分解されてさらに脂肪率が低い場合は筋肉が分解されエネルギーに使われます。

食事量が少ないだけで筋肉が削られていくのです。これは恐ろしいことです。練習は筋肉をつけるために行い、必要な筋肥大によって上達していくのですが筋肉が減ってしまえば元も子もありません。こうなると練習することがマイナス影響に働きます。食品が持つカロリーは様々な書物やネットでも公表されているのでそれを見て欲しいのですが、最近ではコンビニ弁当にはカロリーが印字されています。だいたい700から900キロカロリーくらいです。朝軽くパン1枚6枚切りで158キロカロリーです。多少ジャムなどつけて200キロカロリーとしましょう。そして弁当普通サイズ700キロカロリーを昼と夜摂取すると1600キロカロリーしか取っていないことになります。ドリンクなどで補ってもいいとこ2000キロカロリーくらいです。

全く足りないことが分かります。まず3食でどれくらいカロリー摂取できているかが栄養摂取の最初のスタートです。

次に栄養素ですが特に不足しがちなのはタンパク質です。スポーツ選手であれば体重✖️2グラムは必要です。50キロなら100グラムです。例えば豚バラ100gにタンパク質は14グラムです。100グラムタンパク質を取ろうと思うと豚バラ714グラム必要です。400グラムのステーキでもとんでもないのに714グラムって大変な量なんです。高校生や大学生は体重✖️3グラム必要とも言われています。

食事でこの量を摂取することが望ましいのですが、そもそも量が多すぎて食べられないという問題が出てきます。

そこで必要なのは不足分を埋めるサプリメントプロテインが便利です。プロテインは1さじ一杯で30グラムあります。タンパク質含有率が高いと一杯で30グラム弱摂取できます。これは強い味方です。中学生時期であればプロテインに馴染みが無くあまり飲みたくない時はスティック型のアミンプロテインなどは携帯性も良く運動後に摂取できます。

小学生時期はそこまでは必要ないのでしっかり食事は3食とることです。中学生になり練習時間も長くハードになることから、カロリー量とタンパク質量は気をつけておきたい点です。ただしその他の栄養素ももちろん大切です。これはバランス良い食事を気をつけることである程度解決されます。

一緒懸命練習しても体が壊れてしまっては、練習効果が積み上がらないので親が一番活躍できる場面なのではないかと思います。

vol.4 休養

体育理論の基本ですが適切な運動負荷に適切な休養そして体を作る栄養この3大要素によって運動選手として成長していきます。

その中でも野球界は休養を疎かにする傾向があります。筋力のアップは最大筋力の60%以上の負荷を加えないと筋肥大が起きず筋力アップを果たせません。その適切な運動負荷を加えると筋繊維が破壊されます。その筋繊維を再構築するに休養の時間を要します。再構築は与えた負荷に耐えられるように筋肥大が起き発揮筋力がアップします。

一般的に回復までに要する時間は48時間と言われています。毎日ウエイトトレーニングしている被験者グループと2日に1回の被験者グループの発揮筋力測定では大差無いことが証明されています。怪我のリスクを抑えて最大筋力を発揮させるには適切な休養が必要ということです。

毎日練習する場合は回復期間を設けることが難しいので適切な筋力アップが望みにくくなります。また反面週末しか練習しないチームの場合は5日間休むことになるので練習効果そのものが薄れます

適時練習し適時休養をとることが特に小学生、中学生時期には重要ということです。

また別の観点からも休養が必要です。運動すると疲労物質が体内に残ります。一般的には乳酸であるような疲労物質が体内に残ります。最近では疲労すると皮膚と筋肉の間にある筋膜の水分が減り付着したり固形化することが発見されてきました。そうなると疲労軽減の速度も遅れ筋力発揮そのものを阻害することになります。

また疲労の蓄積は怪我を引き起こす要因にもつながります。疲労回復は血液循環によりなされます。血液により疲労物質を除去する効果があるます。人工的に促進するには、入浴による血液循環効果、特に38度くらいのぬるま湯で20分ほど浸かると重力からの解放、深部の体温上昇、血液循環改善、毛細血管まで血液循環などの効果が発揮されます。

人為的にはマッサージです。これは難易度が高いので筋肉の向きや手法を知らないとマイナス影響が出るので要注意です。ただしマッサージができるようになると触っただけで疲労度が分かるようになります。その疲労度の高い部分を念入りにケアすれば疲労回復に繋がりやすくなります。

ある程度簡単にできるのはストレッチです。筋肉のストレッチは血液循環促進、筋肉の柔軟性確保、心理的ストレスの軽減効果が期待できます。

これも正しい方法で行うことを推奨します。ゆっくり伸ばし意識を伸ばされる筋肉に集中し息を吐きながらゆっくり15秒が基本です。反動とつけたり力んだりしては効果半減です。

また市場では筋膜リリース商品なども出回っています。そのようなものの活用も効果的です。

休養時間確保はチーム方針によることが大きいのでコントロールは難しいいですがケアの部分は自宅でも可能です怪我を防ぎ練習効果を高めるにはトレーナー的な役割も勉強したうえで実施することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

怪我をせず練習効果を積み上げ続けることが上達最大の方法です。

 

vol.3 運動負荷

2の戦術同様お父さんが運動負荷を加えるわけではありません、ここで理解して欲しいのはどれくらいの運動負荷が加わっているかを知ると言うことです。

運動は適度な運動負荷であれば休息と共に運動能力が向上します。しかしそれが過度な場合は傷害の原因に繋がります。

子供が小学生の場合は自分自身では運動負荷を理解することは難しく限度を超えてしまう恐れもあります。しかし野球という種目の特性上練習時間は比較的長く負担も大きいことが特徴です。

例えばどのように運動負荷を見極めるのか?それは傷害につながりやすい点からチェックしましょう。一番確認すべきは投球による肩、肘です。アメリカではピッチスマートなる投球数ガイドラインがあります。頻度、投球数共に越えている場合は傷害になる可能性が高くなります。

次は瞬発的な運動は負担が大きいです。例えば30mダッシュなど自身の瞬発力を最大限に発揮した場合は相当な負荷がかかります。

これを1日100本もやれば過剰負荷です。本気で5本も走れば適切な負荷がかかります。

漸進性の原則という理論があります。運動効果のある負荷を加えないと練習効果が表れません。負荷が強い場合は回数を少なく負荷が弱い場合は回数をこなしても効果が薄いということです。自分に合った負荷であるかどうかを知ることが重要です。

後に休養と栄養の話が出ますが今回の運動負荷を理解することにより怪我しにくいケア等を考えることができます。

またフィジカルトレーニングと技術練習では疲労度も異なります。学童野球の場合は比較的に技術練習の比率が高いため肘、肩が特に成長期ということもあり怪我しやすいので注意が必要です。

 

また野球の場合は守備練習を午前午後とも行うと相当な送球数となり肩や肘にも負担がかかります。午前守備、午後バッティングというようにメニューがバランス良く設定してある場合は良いのですが、その辺りも知っておくことが必要です。

 

子供がどれくらいの疲労度があるのかこれをおおよそ理解することが重要です。それを知ることでオーバーワークであると気づけばケアに意識が向きます。多くのチームが毎日練習する訳では無いので効果的に疲労を抜く時間があります。この時間を有効活用することで怪我の可能性を低くすることができます。障害は金属疲労に似ています。金属は同じ方向に曲げ続けると折れます。疲労が積み重なると靭帯や骨に異常をきたします。ただし正しいケアをすることで都度疲労を取り可能性を低くすることができます。また疲労を軽減する施設や治療院もあります。

オーバーワークで疲労が蓄積しているなとアラームが鳴るような見方や知識が大切ということです。

 

vol.2 戦術

監督やコーチでも無いので戦術は教えられないでしょうと思いますがこれは戦術そのものを教えるのでなく練習試合や大会での試合のシーンを振り返りポイントでここは良かった。ここはこうした方が良いなど戦況を振り返ることが大切です。

あの盗塁のスタートは良かった。どこを見てスタートしたの?とかワンアウトランナー3塁でどのような打球だったからセーフになったとか出来たことを振り返ることが重要です。もちろん課題点も振り返りますがそればかりだと野球がつまらなくなります。3つ褒めたらひとつ課題を言うくらいに留めましょう。最低でも2つ褒めてひとつ課題くらいですね。そのコツは試合の中で一番大きなミスや直してもらいたいことを絞りそれを言うために褒めることが必要になります。

褒められることは承認されることです。喜びを感じているその上で親は感情的にならず冷静に課題を伝えましょう。

例えばワンアウトランナー3塁ピッチャーゴロで突っ込んだそしてアウト、なぜ突っ込んだのか?それはどこにゴロが転がったらスタートか知らない場合はゴロが転がればセーフのなるかもしれないから思い切ってスタートするかもしれません。

知らない場合は思い切って判断したことは褒められることです。勝ちたいために行った行為ですからしかし投手よりランナーに近い内野の打球はアウトになる可能性が高いのでスタートは切らないと言うことをまず学習させることが重要です。

反面教わっていたのにスタートを切った場合は他に要因があります。それは打球を判断するタイミングと見方に問題があります。打ったら走るのでなく打球の強さ方向を判断する練習が不足しているのか判断基準を本質的に理解していないことです。チームでの練習や同じケースでの試合で今度は同じミスを繰り返さないように意識付けすることが重要となります。

たくさんは覚えられません、感情的にならず経験という階段をひとつ登る手伝いすることが大切です。

vol.1 技術練習

練習のベースはチームの指導者が行いますが、そのフォローアップをどう自宅で行うかということですが、以前にも触れました忘却曲線なる記憶の曲線ですが1週間振り返らないとほぼ忘れるというものです。技術種目である野球はいかに復習するかによって習熟度が一気に上がるというものです。

練習の中で学んだ技術をまずヒヤリングしその理解度を確認します。一部忘れていれば思い出させます。しかし覚えているだけではできません、習熟度合いを掌握しながら出来るようにしていくということです。投げる動作であれば足が着地する位置や腕を振るタイミングなどポイントを確かめながら実施していきます。

稀に指導者と全く違うことを上塗りして教える父兄もいます。練習効果的にはあまりお勧めできません、なぜならば教える度に違う情報がアップデートされ混乱を招き逆に習熟が遅れます。子供の悩みの一つです。野球は中学、高校とチームが変わり方針や指導内容も異なり適応能力は必要ですがそれとこれとは違います。何も教えない指導者の元であればお父さんが独自に教えていくことも必要ですが同じ指導項目で違うことを教えるのは少し控えましょう。成長した時にいずれやってきます。技術の取捨選択ができるようになる時が、それまでは足踏みさせるのでなくどんどん積み上げていくことです。

自宅では復習を心がけ忘却させず習熟度のスピードアップを図ることを念頭に置きましょう。

スーパーお父さんとは

子供の野球を応援するお父さんは上手になってもらいたいと日々思います。レギュラーになってもらいたい試合に出てもらいたい。ほとんどのお父さんはそう思うのではないでしょうか。

しかしそのエネルギーを間違った方法に使ってしまうシーンをよく見かけます。例えば指導者の批判、息子への執拗な叱責、レギュラーの親への批判などです。自分自身の不満をストレスを解消するための行動のように感じます。こうして欲しいこうなってもらいたい、こういう願望は言い換えれば目標とも捉えられます。

目標ならば達成までの道筋をプロセスに置き換えて一つずつプロセスを踏み達成していくことができます。不満をぶつけたり政治的に不満を共鳴する人たちをコントロールするエネルギーがあるなら目標に置き換えること達成までのプロセスを描く労力にそのエネルギーを傾けた方が結果はハッピーに近いとは思えませんか?

今回は親ができるサポートの項目を書き出してみましょう。そしてその項目について今後説明していきたいと思います。

その項目ですが、自宅でできることに絞っていきます。技術練習、戦術、運動負荷、休養、栄養、運動動作、道具、心理、この8項目について今後書いていきます。

これ全部子供のためにできたらもはや個人コーチであり個人トレーナーの域を脱しスーパーお父さんになれます。子供ができないことに塩を塗り込み強制し押し込むエネルギーをサポートへ移行させていきませんか。

きっと良い親子関係を築くきっかけになるのではないでしょうか。

忘却曲線を理解しよう

エビングハウス忘却曲線というものがあります。学習したことを1日後56%忘れ1週間後は77%忘れるというものです。時間の経過と共に習ったものを忘れるというものです。

これは新しい知識を常に更新するための人間の機能です。ですがせっかく学んだ野球技術をどんどん忘れては上達のスピードも遅れてしまいます。

この曲線を理解したうえで対応が必要なのです。練習が土日だけの場合翌週まで何もしなければ70%忘れるということです。ではどの様な対処が必要なのか。それは復習の回数を増やすことです。そこは家庭での対応が重要になります。

家庭で毎日練習をしろということではありません、今子供が何に取り組みどの様な課題に直面しているのかその会話でかなり違うのです。思い出させることで忘却の比率を下げることです。

簡単なイメージトレーニングだけでも効果があります。勉強と近いですね。復習というのは忘却曲線を基にした対処方なんですね。予習、学習、復習とは良く言ったものです。

子供に近いところで寄り添い会話していくことで思わぬ成果が出るんですね。