少年野球の先にある未来の扉を開けよう

学童野球ではエース、中学硬式ではショート、ボーイズ県選抜の息子と悪戦苦闘した経験を踏まえ体育大学体育会陸上部出身のお父さんが体育理論を基に野球を客観視した情報を綴っています。

心のバネが伸びきらないように

練習も指導も適度が一番です。

なぜなら過度な練習は怪我に繋がりますし治癒に余計に時間がかかります。言葉での指導も適度が大切です。

つい感情的になり発言してしまうことや何度も同じことを言っているのに成長の証が見えてこない苛立ちから感情的に発言してしまうこともあるでしょう。指導者も人の子なので多少感情的になることはいいことなのですが、それが毎日続くようであれば気をつけなくてはなりません。表題にあるように注意された心はバネと良く似ています。

ある程度の指導や叱りはバネが伸びた状態になります。しかしそれも適度ならばバネのように元に戻ります。適切な負荷なら何度でも元に戻ります。

しかし伸びたバネが戻らないうちにまた伸ばすと最後にはバネが伸びきってしまいます。そうなると元には戻りませんし聞く耳を持たなくなります。その状態になると言うことが逆効果になります。なので常に適切を心がけてください。小学生にも立派な人格があり、その年齢なりに判断がつきます。

思い出してください、小学生の頃をすでにある程度の判断する力が備わっていたことや父親との関係性もその頃にはある程度出来上がっているはずです。

では伸びきったバネ状態になった場合はどうすればいいのか。本物のバネならばコイルの巻き直しで復旧するしかないのです。人の心も同じです。時間を掛けて修復が必要です。今まで嫌だった言われ方を忘れるくらいの時間くらいは言い方を変えなくてはなりません。指導者としては当分の間は感情を捨て冷静なアドバイスを心がけてください。そしてここぞとばかりにだけ抑揚をつけるのです。そしてその指導が終わったら元どおりになる必要があります。この使い分けはなかなか難しいですが指導者としては備えなくてはならない技術の一つです。

 

心のバネが伸びきらないように指導に励みましょう

技術を直すということ

技術指導を行うということはいままでの動作を変えることです。いままでの動作はすでに癖づけされていることが多く習慣の中で身に付いたものが多いのです。それを変えるということは結構労力のいることなんです。

動機付けや指導法などを説明してきましたが、一番難しいのはいままでの習慣を変えることです。技術を教えてもいつもの慣性ですぐ元に戻ります。ここがターニングポイントです。

どうやって技術の浸透を深めるかと言う部分ですがここは合理的な技術指導の範囲から少し逸脱し親子関係という原則に立ち戻った時に有効なのは躾けなのです。教えたことを守らせるこれは親としての躾けの範囲なのです。いつもガミガミ怒っている方は当てはまりません。ここからが本番ですが、前回教えた技術を忘れているか元に戻っているなどが起きた場合がポイントです。

何度も同じことを指導します。意識すれば直るもの例えば立ち方とかセットポジションの手を止める位置などです。意識すれば直るのにそれを怠っているということです。小さなことかもしれませんが小さなことが出来なければ大きな動作や難しい動作も習得が難しくなります。また自分を客観的に見ることができないからできないことも多いのです。それを気づいた時に指摘し修正させるのです。これは感情的では無く冷静に何度もです。

いずれ癖づけされて馴染んできます。短い期間でたくさんのことを教わると馴染みが薄くどれもこれもバラバラになることがありますので注意が必要です。

技術の習得は少しずつ何度もコツコツです。

上手くなりたいと思う動機付けについて

野球選手は上手くなりたいと思い努力を続けます。しかし小学校のうちは上手くなること自体あまり理解せず上達に必要な動機付けが上手くできないことがあります。

そうするとただ漠然と練習をこなすこととなり夏休みのラジオ体操の様に参加することが目的となります。ハンコを集める動機と同じならばもはや進化はみられないでしょうね。

そもそも上達を意識することで競争を意識するようになります。学校行事も結構競争を意識することも多いのです。徒競走は上位で賞状をもらえます。息子の小学校では持久走大会で上位入賞はメダルをもらえます。

それは名誉であり、誇れる成績だからこそなのです、上達の先には名誉だったり勝利の喜びだったりした喜ばしいモチベーションを意識させることが前提にあります。

まずは大きな目標を持つことが大切です。それが動機付けのベースなります。そのような努力して上達し勝利したいと言う欲求や目標があれば指導上の動機付けもやり易くなります。

では指導の際どの様な動機付けが効果的かと言う部分ですが、練習前に今からどの様な練習をするのか、またそれはどの様な理由からかを明確にする事が重要であり、どこに向かっているのかを自覚させます。そうすることで選手は頭の中で整理され指導されている言葉を聞き理解しやすくなります。理解できると言うことは技術習得のスタートみたいなものです。

また試合や大会で上手くいかずミスなどが散見された時はそれを反省し動機付けに活用するのです。上手くいかない時は悔しいものです。できないからできる様になりたいと願いそれが動機付けのきっかけになるのです。

指導者は負けた時や上手くいかなかった時腹立たしく怒ったりする方を良く見ます。それはただの強制であり動機付けの観点から見ると大きく間違っていると感じます。

上手くいかないのは指導者の責任であることを忘れた発言と思ってください。

上手くいかないプレーを見た後はなぜ上手くいかなかったのかを反省するところから始まり原因を追求しその原因を解決すれば上達し次回は上手くいくというモチベーションを持たせることでより具体的な動機付けができるのです。練習試合などは反省と動機付けさらにはその改善に活用してもらいたいですね。

技術指導の伝え方

個別技術指導における伝えかたによって理解度も変わります。理解度が変わると言うことは上達スピードも変わると言うことです。小学校では1年生から6年生まで年度分けされており、いつまでに何を教えなくてはならないかをある程度決められています。学年が下であればあるほど簡単にわかりやすく実例を持った教え方をします。そのツールとして指導要領やアンチョコなどが完備されています。

野球においてはその様な体系化された指導要領なども無く各々指導者の経験に従って指導が行われます。

ここではその全体像や指導要領でなく小学校低学年で教わる指導方法を元に野球技術を教える手法について触れたいと思います。

 

指導手法として、言葉で伝える、見本を見せる、体を補助してあげる、動画を見せるなど伝え方はたくさんあります。

 

人には5感があり、5感をフルに活用して情報をインプットさせることが有効です。本を読むよりは他人に説明してもらった方が聴覚を使います。見本を見せることは視覚に訴えかけます。実際に体に触れ指導することで触覚に訴えかけます。

 

ではどの様な手順で指導することが効果的かと言うと、まずは動機付けです。なぜ今この指導を受けるのかそれを明確にすべきです。あの時の試合で打てなかった理由はとかあの試合でストライクが入らなかったとか課題を明確にしその原因を理解させそれを解決させるために今から技術を教わると言うことを理解させ教わる体制を作ることが動機付けです。

次は実際に動作をさせ、その動作のうち何に課題があるかを具体的に理解させましょう。ここで動画など客観的に見えるツールを使うのは効果的です。

その次に実際の動作を教えます。動作を教える上で重要なのは手先の細かい動作を先に教えるので無く大きな動作から教えます。体幹を使う動作や正しく立つなど大きな動作から小さな動作へこれが基本です。なぜならば運動というのはそもそも速い強いエネルギーを走りに代えたり投球に代えたりするのが運動です。なので大きな力を生む動作が間違っていると小手先を治しても根本的な改善や上達には繋がりません。

大きな動作から小さな動作これを理解した上で指導開始です。

技術を伝えるコツは動作自体を教えることも大事ですがドリルのように結果その動きができている様な導入がスムーズな導入です。

ドリルの時に注意することは位置を理解させることと動きをイメージすることが大切です。位置とは投球時足をあげる高さや足をつく位置など動作の位置づけです。それを理解することで何度も同じ動作がやり易く再現性が増します。そしてイメージですがこれは擬音語を使います。シュッとかビュッとかブーンとかです。動き動作に動きのスピードを擬音語で伝えることで動作の質を理解する効果があります。

 

やる気、イメージ、基準 これにて技術指導しその後指導した本人から復習の意味でビフォアフターで何が違ったかを話しをさせそして何を学んだかを話しをさせることで理解度が増します。

 

技術指導にはこの様なコツがあります。これらを実践することが上達の近道なのです。

 

キャッチボールの重要性

野球の練習の始めに行うキャッチボールですが、さてどの様に取り組んでいるのでしょうか?ウォーミングアップのひとつと捉えている方、肩を温めるためと思っている方どちらも認識がずれています。

ボールを捕って投げるだけですが、試合中の守備は全てボールを投げて捕るしかありません練習の度行うものです。この取り組みひとつで上達スピードが加速度的に上がります。投手にとってみればここでしか練習はほぼできないのです。小学校のうちは投球練習などあまりやりません、なのでキャッチボールが全てなのです。

立った状態が左右上下にブレていないかどうか、正しい位置に足を踏み出しているかどうか、腕の振りは正しい振りかどうか、リリース位置は正常か、下半身のリードと上半身の回旋のタイミングが合っているかどうか、これ全てキャッチボールでできていなければマウンド立ってもストライクなど入る訳ありません。

野手ではどれだけ実戦に近い補給ができるかどうかが鍵です。キャッチする位置は補給を意識した箇所で補給できているかどうか、握りかえるタイミングは適正か、ボールの勢いを生かしたに握りかえか、勢いと喧嘩した握りかえか。送球する時のトップの位置は適切か、肘が上がっているか手のひらの位置は適切かどうか。グローブの手の位置は体の回旋を生かせる位置かどうか、そしてステップは実戦を意識したフロントステップになっているかどうか、最後に送球前の肩の位置は送球先に対し真っ直ぐかどうか、などキャッチボールで確認すべきポイントをチェックできているかどうかが上達の鍵を握ります。皆さんのチームでキャッチボール時に話をして見ていない指導者を見かけたら残念ですが、ご自身の自宅で補習を行なってください。これができなければボール回しなど連携した練習などできる訳ありません。

体の向きと使い方を覚える唯一の練習と言っても過言ではありません。

 

これができればゴロの取り方とフライの取り方さえ覚えれば守備の基礎はほぼ習得されたことになります。

 

それだけ重要な練習と思い取り組んでください。仮にキャッチボールに無関心な指導者であったならば指導者は選べませんので自宅や自主練で子供との技術の会話を楽しみながら教えてあげてください。

バッティング指導の実例

先日息子の小学3年の動画を懐かしく見ていました。今見ると思わず笑ってしまう程です。簡単に言うとただ降っていると言う状態です。当時はまだ技術的な指導はしておらず思い切って振るようにと言うレベルです。ではそこから実際どのように指導したかと言う足跡ですが、一番初めはスイングプレーンを作る動作です。ヘッド先に開くドアスイングの防止です。体の回旋合わせ手首先に出て遅れてヘッドが出てくるドリルを繰り返しスイングの流れを作ることです。このスイングがモノになると流し打ちも得意になります。次のプロセスはトップの位置作りです。前足を踏み出した時前足と手首の位置が離れていればいるほどエネルギーが溜まっている状態です。それを作るためには耳の後ろあたりで構えることを覚えさせました。ここまでで1年半掛かっています。

しかしここからは投手になるための投球フォームも同時で習得しなくてはならないのでバッティングの技術を遅らせました。結果小学生時に早い肩の開きや割れの技術、後脚と腰の回旋技術や長いレベルスイングなども引退後でした。技術習得は時間が掛かるものです。私自身の指導力習得の時間とも比例しています。現在中1になりようやくバッティング技術の習得の基礎習得が終わるところです。地道にやれば積み上がるものだと感じています。

2年くらいかけながらじっくり教えることをお勧めします。我が家では結局3年以上かかってしまいました。それも今ではいい思い出です。

 

全習法と分習法の使い分け

練習の方法に全習法と分習法の2通りあります。これを使い分けることで練習効果が高まります。動きを分解して教える方法が分習法で一連の動きをまとめて教える方法は全習法と言います。投手の投球を例えに説明してみます。

腕の振りを分解しながら教える方法は分習法です。腕の動き反対の腕の動き上半身の動きを習得する。これとは反対にヒップファーストの様な下半身の動きこれを別々で教えてどちらもできる様になったら動作をジョイントさせて一連の動きとして練習する方法が全習法です。

これを理解せず全習法ばかりを指導する指導者が多いことも事実です。

以前にもお伝えしましたが、野球の動作は難しい動作の連続なのです。ひとつひとつをパーツとして教えてジョイントするこの流れを覚えて下さい。

また違うケースでも当てはまります。ケースノックは全習法、キャッチボールは分習法とも言えます。全習法の良いところは一連の動作や他人との体系練習など実践に近い練習です。そのため本番を想定した練習とも言えます。ケースノックするにはボールを捕る動作や相手に投げる動作はキャッチボールの動作です。そもそも分習法ができないと次の段階へ進めないのです。

それを踏まえ部分動作と一連動作を交互に繰り返し目的意識が育つ練習を心がけましょう