少年野球の先にある未来の扉を開けよう

学童野球ではエース、中学硬式ではショート、ボーイズ県選抜の息子と悪戦苦闘した経験を踏まえ体育大学体育会陸上部出身のお父さんが体育理論を基に野球を客観視した情報を綴っています。

個の連鎖がチームを形成する

ヒトが二人揃えばそこに組織が発生します。人類とって最も重要な発明は組織だと言われています。学童野球ももちろん組織でありチームでもあります。しかし大人の組織でないことキャプテンとエース以外は役割が無いことが特徴です。子育ても同様ですがなかなか思うようにいきません。ですが子供の中にもそれぞれの役割が出来上がっています。ご自身が小学生の頃を思い出してください。人気があってスポーツができる集団、可もなく不可もない優しい集団、他人に干渉しないおとなしい集団、集団に属せず個人で動く子、いじめられて孤立する子など色々な集団や個人で形成されていたことを思い出します。クラスの団結が強い時はその集団同士が近い存在ということで皆がコミュニケーションが取れる状態です。

キャプテン真っ直ぐ進む人、エースは勝敗を背負う人またその能力を備えている人、それ以外にもいます、鈍臭いけど努力する人、ちゃらんぽらんだけど見てると楽しい人、真面目で打たれ強い人、自尊心が強く感情をコントロールできない人、みんな一長一短です。組織とはチームとは個性の違うもの同士がそれぞれの役割を担うということです。緊張した時はちゃらんぽらんな子が明るくします。地道に努力した子が成果を出せば努力が大切ということを皆が知ります。真面目で打たれて強い子は代表して指導者から叱咤される子、みんなが役割を背負った時に初めてチームとなります。相手を尊重する心、相手を許容する力、相手を励ます勇気、この気持ちをどのように醸成するかが大切です。チームの中の自分をどう認識するかということです。状況に応じて導火線を持つ子が違うのです。集中力を増すため、明るくするため、冷静になるため、それぞれ導火線を持つ子が違うということです。誰の導火線に火をつけるのかこれが指導者のテクニックになります。指導者の声のかけ方は十人十色です。指導者が子供等を許容することと統制することはどちらも重要ですがその塩梅、さじ加減こそが必要な要素なのです。

怪我した時の親の役割

スポーツは怪我が付き物です、怪我は一生懸命やることにより起きるものです。スポーツ理論を学ぶ私としても歓迎されるものではありませんが、反面頑張らない子には怪我はないんです。突破的に起きる怪我。誰も歓迎しません、しかしその怪我をどう捉えるかと言う姿勢には差がつきます。下半身を怪我した際は上半身を専門的に強化できます。肩を怪我した際は反面下半身を強化できます。ここで言いたいのは辛い時、恵まれない時、上手くいかない時こそ親にとっての教育機会になり得るのです。五体不満足だからこそ見える価値、野球をする楽しさ、弱い自分との向き合い、そんな息子を見るのは親としてもしのびなく辛いものです。しかしそれもスポーツそれも野球人生なのです。小学生時の怪我は再起が可能な障害が多いのです。だからこそどのように向き合うかが怪我完治後の成長につながるのです。私の息子も2度肩を痛めました、体育理論に精通する親ですら回避できないものです。しかしその怪我から学んだことは計り知れない大きな影響を与えました。チームと自分の関わり合いそこで迷惑をかけたチームメイトそして無償の愛でサポートした親の存在、人としての関わりあいを学びました。立ち止まること踊り場を迎えることが必ずしもマイナスではないと言うことです。学童野球を志す子供を持つ親の皆様へお伝えしたいことは、チームに帯同することをオススメします。苦しいこと、辛いことを感じるかもしれませんがそれも教育、みんなのバックアップに入ることで補欠の子のことも理解できます。なのでパフォーマンスにとっては良いことは少ないですが、子の成長にとってはまたと無い機会であること、悔しい現場を子供と感じ合うことによる一体感を是非感じてもらいたいです。その時間こそが親と子の大きな思い出になることでしょう。またその後起きる怪我含めた親が関与できない困難に立ち向かう糧を身につけると感じています。

技術指導とはブレイクする力

学童野球の試合でとにかく目に見えるミスに対して怒鳴ったり半分脅したりする指導者を見ます。そんなに脅して何が楽しいのだろうかといつも疑問に思います。子供たちのプレーの全ては指導者の指導の賜物なのです。子供たちを怒鳴ったり脅したりしてる方は自分の真上に唾を吐きそのまま自分に降りかかることと同じなのです。子供たちができないのは教えている側の問題でありまだあまり多くのことを知らない子供には罪がないことの方が多いのです。しかし教えたつもりで試合を見ると確かに思う様に行かないことも多く指導者としてもストレスがかかるものです。見たプレーを見たままに注意してもあまり意味がありません、なぜならその裏側にあるプロセスがそうさせているのです。

プレーの再現性が高くなるのは2つの要素からです。ひとつはプレーのプロセスを理解していることもうひとつはケーススタディーで学んだ場合のどちらかです。ひとつ目は頭の中で理解できている状態です。守備であればワンプレーワンプレーが詰将棋の様にパターンで理解している場合これは小学生では少し難しいかもしれません。しかし後者のケーススタディーは実際にプレーで失敗したことを原因まで遡り注意された場合は理解を示します。これはある意味信号が青になったから渡った。信号が赤で渡ったら自動車に引かれた。ことと同義語です。引かれたことを注意するのではなく赤では渡っていけないという事を知らないから渡るのです。なので信号には赤 黄 青の3色があることそしてそれぞれ色の意味を知ることでようやく赤は渡ってはいけないということをまず教えなくてはなりません。これを野球に置き換えると結果に対して原因を深掘りしなぜその選手がミスをしたのかを理解しながら本人にとって最適な指導を選択すべきなのです。ブレイクすることすなわち深掘りすることが技術指導における徹底事項なのです。

個の力をチームの力に変える2

クイックキャッチボールがある程度出来たら塁間ボール回しにチャレンジしましょう。時計回り反時計回り斜め法則はお任せしますが、回し方を決めてどれくらいのタイムで回すことができるかこれにチャレンジです。これはまさしく守備の連携の基本です。焦った時の一塁送球、ダブルプレーの早急、中継プレーのキャッチボール、キャッチャーからのセカンド送球などをトレーニングすることができどの位置に投げるかどう捕球してどう送球するかという実践的な能力が身につきます。ボールを回さない人はカバーです。カバーもひとつのプレーです。これも重要なチームプレーです。

これができればかなりの守備力アップです。次に習慣化させるべきプレーはランダウンプレー日本語だと挟殺プレーです。ランナーを塁間で挟み確実にアウトにするプレーです。これは二人のプレーが連動しなくてはならずまた順番も交互に行うことからチーム全員で習得すべきプレーです。詰めるのはホームから離れたベースです。ランダウンプレーが失敗しても影響が最小限に抑えられるからです。仮に3塁とホームで挟んだ場合ホーム側は早くボールを投げ3塁側に向かって追います。ボールを投げる際ランナーと交錯しないことです。クロスするとボールが見えなくなりキャッチできないこともあります。守備では味方を良く理解すること相手が受けやすく投げやすいボールを投げることが結果自分が受けやすく投げやすいボールが来ることにつながります。

個の力をチームの力に変える

個人技術向上について書いてきました。個人の力は重要ですが、野球はチームプレイ、チームとしての戦力を上げることが勝利に必須条件となります。

特に大切なのは守備と走塁です。守備は中継プレー、ランダウンプレーなど個々の動きを連動させるプレーが1試合にいくつも出くわします。しかしそこでミスすると簡単に進塁し失点につながります。捕って投げるだけですが連続した動きで行うことが難しいのです。相手はいつも同じ場所に投げてくれません、でもそれを適切にキャッチし暴投しないように送球しなくてはなりません、連動するキャッチボールはその練習しなくては上達はあり得ません。連続するクイックキャッチボールがどれだけ続くか、塁間ボール回しなどプレッシャーがかかる練習をどれだけ正確にできるか、このトレーニングが必要です。これを毎日繰り返すことでどう受けたらいいのか。どう投げたらいいのかと言う課題をチーム皆で気付きを得ることで上達を迎えることができます、そこで初めてチームとして艇をなしてきます。

ではどの様な練習すべきかと言う点ですが、まずはクイックキャッチボールです。1対10人になり、連続したクイックキャッチボールを行います。1はずっと受けて投げ続けます。10人は交代交代です。エラーせずどこまで続くか、2周くらいで交代しこれを11人分続けます。まずこれで1の人が大変だと気付きます。相手になる10人は相手のことを考えながら送球します。連動した動きはここから始まります。この際ボールをどこでキャッチするかが重要です。右投げであれば半身になり受ける側から見て右側で受けられれば次の送球がやりやすくなります。投げる人の右側に投げクイックで返す、塁間まで距離を伸ばせればそれでかなりの上達が見えてきます。ここからスタートです。

投手の育て方

チームにおける勝利の肝は投手に影響されます。では学童野球期における投手の育て方はどうすればよいか?それが分かればこれほど力強いノウハウはありません。

投球における運動力学的な要素は並進運動と身体の回旋運動この二つの力学によって投球の力が発揮されます。方やコントロールという要素にも悩みます。並びにくい二つの要素をドッキングさせることが投手としての能力啓発に重要な要素と言えます。

では優先順位は何かというと並進運動と回旋運動を正確に行うことを優先させるべきです。この二つの動作は大きなエネルギーを生みます。なので重要です。

では何を気をつけるべきかと言うと並進運動は肩のラインを地面と平行にすべきです。その上でヒップファーストという右投げなら左脚を内側に配置してお尻から落ちていくような動作でマウンドの高さによる位置エネルギーを使いながら並進運動を行います。その力を利用した後前脚を着地した後身体の回旋を始めます。背骨を軸として回旋することで並進運動の力を増幅させることができます。ここからは腕の振りに移行する訳ですがここからの技術は複雑のため別途説明しますが、リリースポイントを前に身体の回旋に合わせて腕を振るのです。

大きな身体の動きとを感じることで投球の勢いが変わります。しかし今述べたことは実戦教育も踏まえると習得に1年は時間を要します。それだけ投手育成に時間がかかりますので事前に育成時間を読み込み育成を開始すべきですね。

親としての声のかけ方

子供に野球させる親は誰もが活躍してもらいたいと思います。また元野球部など親が経験者の場合とかく気になるものです。

頑張ろうとする息子、サボろうとする息子、あまり頑張ろうとしない息子色々いると思います。熱心な親は頑張ろうとする息子を期待します。しかしあまりのプレッシャーは逆に期待を裏切ります。子は親によく似ています。自分が言われて嫌なことも言っているかもしれません。ではどの様な関係がいいのか、それはいつも自然であること自然とは気づいたら側にいるということ困った時だけ側にいる状態です。子の負担にならずいつも見守りイライラ感情をぶつけず困っていると判断した時に声をかける状態がいい関係です。

その時には過去にも触れていますが、客観的に問題課題を理解しておくことです。子供に取って親のアドバイスは必要な時以外はあまり必要としていません、ただでさえチームの指導者から様々指導されているのですから。

困った時に心に染みるアドバイスができるかと言うことです、その関係が子供のやる気を掻き立てます。温かく見守られている安心感が困難に立ち向かう勇気を与えます。また出来たことをしっかり褒めるのです。

イライラを抑えて適時アドバイスできるようになるといい距離感になってきます。アスリートにとってパフォーマンスに対して誹謗されると極端にモチベーションが下がります。パフォーマンスには客観的な論理的アドバイスが効果的でありこれはコーチング論でも証明されています。指摘や叱るのはスポーツに対する姿勢やしつけ部分です。ここからも言えることは子供のパフォーマンスに一喜一憂し口を挟むのでなく、なぜできたからできなかったかを深掘りしてあげることです。

しかし試合の朝 寝坊したり、忘れ物絶えなかったり、指導者の話を聞かなかったり、練習に身が入らない時などは姿勢の問題ですしっかり子供と向き合い叱ることも必要です。しかしそれが毎週では参ってしまうので程々にしてください。野球好きならばいずれしっかり野球に向き合うようになります。

大切なのは自分がプレーするのでなく息子がプレーすると言う前提を理解することですね。