少年野球の先にある未来の扉を開けよう

学童野球ではエース、中学硬式ではショート、ボーイズ県選抜の息子と悪戦苦闘した経験を踏まえ体育大学体育会陸上部出身のお父さんが体育理論を基に野球を客観視した情報を綴っています。

全習法と分習法の使い分け

練習の方法に全習法と分習法の2通りあります。これを使い分けることで練習効果が高まります。動きを分解して教える方法が分習法で一連の動きをまとめて教える方法は全習法と言います。投手の投球を例えに説明してみます。

腕の振りを分解しながら教える方法は分習法です。腕の動き反対の腕の動き上半身の動きを習得する。これとは反対にヒップファーストの様な下半身の動きこれを別々で教えてどちらもできる様になったら動作をジョイントさせて一連の動きとして練習する方法が全習法です。

これを理解せず全習法ばかりを指導する指導者が多いことも事実です。

以前にもお伝えしましたが、野球の動作は難しい動作の連続なのです。ひとつひとつをパーツとして教えてジョイントするこの流れを覚えて下さい。

また違うケースでも当てはまります。ケースノックは全習法、キャッチボールは分習法とも言えます。全習法の良いところは一連の動作や他人との体系練習など実践に近い練習です。そのため本番を想定した練習とも言えます。ケースノックするにはボールを捕る動作や相手に投げる動作はキャッチボールの動作です。そもそも分習法ができないと次の段階へ進めないのです。

それを踏まえ部分動作と一連動作を交互に繰り返し目的意識が育つ練習を心がけましょう

子供が野球動作を理解するツール

運動における動作分析する方法の事をバイオメカニクスと言います。ある一定の基準で動画を撮影してどの様な動作がどの様なパフォーマンスに生かされるかを見つける学問です。特殊な機材がなければそもそも難しいと思われて来ましたが、現在においてはスマホで十分な動画が撮影できます。

iPhone ならばスロー撮影も可能ですしコマ送りも自由にできます。このツールを使いながら投球バッティングなど動画を撮影してコマ送りで見ます。一連の動作では見えなかった細かな動きが見えてきます。これと見本となる動作を見比べるのです。今ではプロ野球選手などのスロー解説書などもたくさん発売されています。これとの比較から何が違うのかを紐解いていきます。これは説明する側が一連の動作を理解する必要はありますが、子供との二人三脚での勉強は楽しいものです。親子で動画を見ながら何を改善しなくてはならないかを考えて見ましょう、運動動作においてはパフォーマンスを行なった後20秒以内に動画を見たりアドバイスを送ったりすると動作とイメージが感覚として残っているので効果的な指導につながります。自分で思っていることと実際の動画ではほとんどの場合にズレが生じます。これはかなり効果的な指導法です。我が家でも常に動画を撮り見せながらズレてきた技術を修正しています。

プロ野球選手でもスランプに陥ることがあります。左右非対称の動作で行う競技ですから少しずつズレていきます。毎日見ているコーチなら少しの変化も見逃しませんが、プロ野球のコーチも入れ替えも激しく常に見てもらえる環境ではないのです。

イチロー選手は道具を変えないことで自分が変化している事を認識しそのズレを直していくことは有名ですが、動画を見ながら修正することでその代わりにもなります。

あと親としてはその動画の積み重ねが子供の進化の足跡になり大変いい思い出にもなりますよ。

技術を1回で教えるのはひとつが原則

自分の息子を見ると小学校の間はたくさん欠点が見えます。なので見えたことを全部言いたくなります。それが試合で負けたとするとなおのこと言いたくなります。

感情に任せ言いたいことを言うことは必ずしもプラスには働きません。

なぜならばたくさんの技術における情報処理する能力はそれほどありません。できて一つです。たくさん言ってできないよりも一つだけ言って習得した方が結局近道なのです。また都度たくさん言うことは子供のモチベーション低下につながります。大好きなお父さんに言われたことはなんとかやって習得したいのが子供の心理ですができないものは出来ないのです。努力すれど上手くいかないしかしお父さんは毎回たくさん課題を出す。いずれ子供が諦めお父さんから言われることに慣れお父さんをどう攻略するかと言う思考が働きます。そうなれば上達も期待できません。

毎度課題はたくさん見えてもグッと我慢して一番影響が大きく習得してメリットの大きい技術を教える様にしましょう。それも簡単に伝え理解することでチャレンジする力が湧いて来ます。一つならなんとかできるんです。以前書きましたが上達が遅い子にはとにかく砕いてわかりやすく伝えます。1年間は52週あります。毎週1個だとしても1年間たてば52個の技術を習得することになります。これは劇的な進化です。運動が不得意な子でも劇的な変化が起きます。この法則を知れば毎週の野球はお父さんも子供も楽しみになります。なぜならば毎週進化できるからです。

いくつもいりません。ひとつでいいんです。丁寧に地道に指導していきましょう。

子供はきっと喜びます。

野球の技術は積木と同じ

満足なプレーができるようになるためには、たくさんの技術を覚えなくてはなりません。例えば満足するためには100個の技術を覚えなくてはならないと仮定した場合にどのタイミングでその技術を積み上げるのか学年別で考えてください。2、3年生では野球を楽しむことそして投げる、打つ、走るといった根本の技術習得が必須です。4年生では走塁などの基礎に加え判断を覚えなくてはなりません。どの様な状況判断でスタートすれば良いのか?どのような状況判断で盗塁のスタートをすれいいのかなどです。また守備でも状況に応じた守備体系なども習得が必要です。5年生では間も無くトップチームでの公式戦を見据え体もお大きくなることかバッティングの比重をあげ打てる自信をつける必要があります。それと並行して練習試合による実戦形式での流れによる状況判断を身につけそれでトップチームとして主要大会に望みます。そこで学年別で習得しなければならない技術は全部が100としたら5年生までに25個づつ均等に習得が必要となります。一気に5年生で70個覚えようにも頭では分かるが体で体現するのは難しいです。技術の習得は目では見えませんが積木と同じでいつどれくらい積み上げるかは考える必要があります。

野球は一瞬、一瞬のプレーで得点も失点も変わります。技術や動作は自然にできるうように体に染み込ませる必要があります。

そのためには毎年課題を持って積木を積み上げることを共有して学年ごとの指導プランを共有しながら一連の流れを作ることが重要です。クラブチームや代表者が固定されたチームであればそれも可能ですが、そうでない場合は学年をへだてなく指導プランを共有し先輩は前年度の反省をひとつ下の学生に順繰り順繰りバトンパスしていくと技術習得の連動性が出来上がります。

急な積木の積み上げは積木自体が崩れてしまう恐れもありまたその分体に負荷がかかりますから怪我の温床にもつながります。

野球の怪我に対する考え方

スポーツには怪我がつきものですが、できる限り怪我は避けたいものです。野球における怪我の多くは投げる競技だからこそ起きる肩、肘の傷害が多く、それ以外にも腰や捻挫 股関節なども怪我しやすい箇所と言えます。

ボールが当たるなどの外傷以外の怪我が起きる要因のひとつは体の正しい動きでない動作を繰り返すことで起きる炎症、もうひとつは正しい動作でもオーバーワークいわゆる使い過ぎによるものが大半です、では何に気をつけるべきかと言いますとひとつは正しい動きを習得することです。この正しい動きとは人間の骨格や筋肉や腱という体の動きによる動きです。

もうひとつは野球では駆使されるが筋肉自体が小さい肩 肘に気をつけなければなりません。日々の練習の流れですがまずキャッチボールから始まり、ボール回しやラウンダウンプレーなど守備的な練習これにノックなど加えると投手でなくても相当投げていることがわかります。投手では年齢別で1日の投球数の目安などを出している書籍やサイトなどもありますが、それだけではありません、おおよそどの練習をどれくらい時間やると何球投げるかは把握したいものです。これを理解して目安を作り、投げる練習と投げない練習を組み合わせることが重要です。午前中守備練習を行ったら午後はバッティング練習や走塁練習やフィジカルトレーニングなど組み合わせ負担が一箇所に集まらない工夫は必要です。春から夏なると日照時間長くなるので一層工夫が必要です。

長男は1年間で2度肩を痛めました。それを反省した時に上記のことを思い返します。

ただでさえ成長期である小学生では細心の注意が必要です。

また右投げ右打ちは投げる時も打つ時も時計の逆回転の動きを繰り返します。

右投げ左打ちの場合は投げる時は時計の逆回転ですが打つ時は時計の回転で体を回旋させます。同じ向きを繰り返す場合は同じく無理は禁物です。腰や体の痛みにつながりやすくなります。

体は適正な負荷をかけると適正な成長を果たします。怪我をすると階段の踊り場のように成長スピードが鈍ります。

練習後のケアも大切ですがそれよりも練習そのものを見直す必要がありますね。

運動が不得意な子供への指導

タイプの違う9ポジションで守備を行うのが野球の特徴です、なので個性を上手く配置することで誰もが活躍するチャンスがあるのも野球の特色の一つです。

運動が不得意だけど野球が好きな子供も多いと思います。不得意な分技術の習得にも時間がかかりますし親としても苛立ちが募ることでしょう。そこで諦めるのは早いです。誰もが活躍する可能性があるからです。

皆と同じように教えても上達しない場合はどうしたらいいのか悩むところです。ではどのように指導すれば良いかということですが、先ずは教える技術の中身を細かく分解することです。高い階段を登ることができなければ低い階段をたくさん登り到達すればいいのです。わかりやすくするコツは細かく教えてあげることです。投球動作も一連の腕の動きを見ただけでできる子もいれば肘の上げ方一つから教えなければならない子も存在します。

見た動作を自分の動作に置き換えることが得意な子は上達も早く自分の体を思い通りに動かせるのが特徴です。しかしそれができない子は細かく教えてその細かい技術と細かい技術をつなぎ合わせるのです。先ほどの投げる動作で言えば内旋しながら腕を下ろす動作、肘を引きながら上げる動作、腕を外旋させトップを作る動作例えばこの3つの動作を一つずつ教えてそれぞれができた後一連の動作として教えて繋げていきます。不得意な子は動作イメージ力が不足している場合とイメージ通りに体が動かない場合があります。しかし丁寧に反復することでいずれ動作が脳に刻み込まれ技術を習得することができます。

よく聞く話ですが、良い職人は不器用の方がいいと言います。簡単にできてしまう子は見よう見まねは上手だが職人としての繊細な動きを理解しないことが多いようで、反面不器用な子は何度も何度も同じ動作を繰り返しできるようになることで反復して覚えたものは忘れにくく技術鈍ることも少ないのです。できないからこそ反復を繰り返す能力がつくのです。これも一つの才能であり器用な子にはない能力のひとつかもしれません、物事は考え方次第です。ご自身の息子が不器用で運動が不得意だったとしたら職人的な選手になる才能かもしれません、諦めず地道な努力を繰り返すことできっと上達へのロードマップが見えることでしょう

野球指導における父と息子のスタンス

指導における指導法に付いて書いてきました。しかし親子のスタンスが合わなければ習得も遅れます。

我が家の長男の小学生時期は臆することない性格でしっかりとした自己主張する選手でした。親など気にすることなく対戦相手に集中して自分との会話を楽しむ性格でした。長男なのに自由奔放と良く言われましたが、長男 次男関係なく家庭で野球のことで追い込む話はほぼしませんでした。ミスをして指導者から指導されるのは息子、親は叱られません、そこに安堵しいいこと悪いことを直接言葉で突き刺す親も多いのではないかと感じています。

スポーツにおける重要要素は第1に動機付けです、なぜ今言われているのかそれは何を改善するために言われているのか。この部分が理解される状態を先ず作るべきです。その後です技術指導などを行うのは、

先ず先に親が子供の成長曲線を描くのです。そのためには常に目的意識を持たせ動機付けすることです。成長曲線に乗ったら後は子供の努力次第で夢に向かい突き進みます。

そこまで成長曲線を作る努力は並大抵ではありませんが、子を信じサポートするしかないのです。特に中学硬式チームでは親がサポートするケースはグランドではありません、小学校のうちにモチベーションと技術という土台を作ってあげることが親としてのスタンスではないでしょうか。