少年野球の先にある未来の扉を開けよう

学童野球ではエース、中学硬式ではショート、ボーイズ県選抜の息子と悪戦苦闘した経験を踏まえ体育大学体育会陸上部出身のお父さんが体育理論を基に野球を客観視した情報を綴っています。

vol.6 運動動作②

運動動作の2として運動動作をどのように分析していくかというテーマですが、学問的には非常に難しい計算式を用いていくのですが、そこまでやる必要はありません、では簡易的に進める方法ですがプロや上級者の中でも専門家がお墨付きを出している選手を参考とし真似をすることです。

しかし真似も前回書いたように大きな力を発揮するところから真似ていくことをオススメします。真似る動作があれば比較対象になります。30年前であればビデオテープに取らないと見れませんでしたが今ではスマートフォンで簡単に動画が撮影できます。撮影した動作と参考選手の動作をスローモーションやコマ送りで比較していくことで差が見えてきます。最初はここから始めることをオススメします。

次に動作撮影と比較を何度も行うと子供の動作が頭の中にインプットされます。動作を漠然と見てもあまり変化が分かりませんが、目をつぶっても動作がイメージ出来るようになれば日々のちょっとした変化に気づくようになります。変化を感じたらその部分を中心にコマ送りして見ることで違和感の原因を発見することができます。

ビデオも使わないのに動作の変化に気づく指導者がいますがそれは対象選手の動作が頭の中にインプットされています。とかく優秀な指導者はその能力が啓発されています。

当然親であればそんな能力は無いので息子だけを見て日々の変化に気づくことが大切です。

次に撮影した動作を使い上達につなげる方法を紹介します。親は子供のことを色々言いたくなります。しかし言い過ぎは良い効果を生みません。その代わり自分を撮影した動画こそが自分のコーチになるのです。本来であれば動作を行なった20秒以内に見せることでイメージと動作の実感が残っており客観的な情報と比較して修正点を把握することができますが、野球の練習中では無理なので練習後や試合の後に見せて考えさせることでイメージと実際の動きの差を見つけることができるようになります。そこで改善されたこと出来なかったことを自分で正確に理解できれば改善は早くなります。

最初は出来なくても回数を重ねることで見る目がついてきます。親の立場としては言いたいところですが、動作を支配しているのは本人の脳です。脳が感じていることと実際の動作には差があることを知りどう直すべきかを知ることで修正情報を脳が出しやすくなります。これが上達の近道です。運動能力が優れておりすぐ動きをマスターする子はこの能力が長けているのです。

親子のコミュニケーションとしては親が考える良いところと悪いところ、子が動画を実際に見て考える良いところと悪いところの答え合わせをすることです。もはや自分で理解できていればわざわざ言うことは無くなります。指摘でなく改善案を考えるアドバイザーになることが大切です。

vol.6 運動動作①

専門用語ではバイオメカニクス、少し昔はキネシオロジーという名前の学問です。このバイオメカニクスを考える上で重要なのは、運動動作というのは力を伝達する動きのことです。

なので力の発生源は何かということそしてどの動作の力が最も大きいのかということそして大きい力を伝えるので怪我しにくい動作を両立させることが重要です。

技術を教える指導者並びに親として知っておいて欲しいのは例えば投球における大きな力は何かということを知りそれをどのようにリリースまでに増幅させるかとういことがベースになります。とかくリリースや手首を気にすることがありますがそれは最終局面であり優先順位が高いことは他にたくさんあります。

投球を例に取り考えてみましょう。マウンドの傾斜を利用して体が捕手側に動く並進運動と体が回旋する回旋運動の力そして踏み込み足を地面に着いた時の地面反力が一番大きな力です。まずこの3つをスムーズにつなげていく動作を優先的に進めるべきです。大きな力が働いている方向を手首の力だけで変えることは難しくどのように投げ出されるかが重要です。自動車だとエンジンの動力をタイヤに伝えて走ります走っている自動車が突然ブレーキ無しに90度曲がることは不可能です。慣性という動いているものは動き続ける法則により突然のブレーキや方向転換が難しいということです。そのためまずは正しい足の位置、ヒップファースト等正しいマウンドからの移動、そして正しい回旋した上で腕が振られてきます。この辺りの一貫性を動作で繋げていくことが重要です。

次に怪我予防の観点からですが骨と骨を繋ぐのが靭帯いわゆる腱です。筋肉が動力、靭帯は繋ぐものです。従って大きな動力で投球動作が行われているときに靭帯や骨に過剰なストレスが掛かったら障害につながります。運動のような大きな力が靭帯に掛かればそれを想定した強度ではないので障害に繋がりやすいのです。

プロ選手でも肘の怪我のことが良く報道されていますがフォームのどこかにストレスが掛かっていたのではないかと推測されます。

まず知らなくてはならないのは、末端でなく大きな力が働いてるところから手をつけること末端は最後で良いのです。

そして関節や靭帯にストレスがかかりにくい動作とあわせ持ちフォームを作っていくことが大切です。

今回はこれくらいで終了。次回は子供の動作をどう客観視するかというテーマで運動動作を考えていきます。

vol.5 栄養

栄養というカテゴリーはまさしく親の仕事、これだけでもずいぶんと差が付きます。最低限覚えておく必要があるのは3大栄養素と消費カロリーと摂取カロリーの比較です。

3大栄養素ですが、体を動かすガソリンになるエネルギーの素である糖質、熱効率は悪いがエネルギー効率の高い脂質、そして体特に筋肉を作る材料となるタンパク質この3つです。

詳細な栄養素に入る前に消費カロリーの話しをします。良く運動する15歳くらいは最低でも3000キロカロリーは1日で消費します。練習量が多くマル一日となると4000キロカロリーを消費していることもあります。反面摂取カロリーが2000キロカロリーしか摂っていない場合マイナスになるので体に貯めている脂肪が分解されてさらに脂肪率が低い場合は筋肉が分解されエネルギーに使われます。

食事量が少ないだけで筋肉が削られていくのです。これは恐ろしいことです。練習は筋肉をつけるために行い、必要な筋肥大によって上達していくのですが筋肉が減ってしまえば元も子もありません。こうなると練習することがマイナス影響に働きます。食品が持つカロリーは様々な書物やネットでも公表されているのでそれを見て欲しいのですが、最近ではコンビニ弁当にはカロリーが印字されています。だいたい700から900キロカロリーくらいです。朝軽くパン1枚6枚切りで158キロカロリーです。多少ジャムなどつけて200キロカロリーとしましょう。そして弁当普通サイズ700キロカロリーを昼と夜摂取すると1600キロカロリーしか取っていないことになります。ドリンクなどで補ってもいいとこ2000キロカロリーくらいです。

全く足りないことが分かります。まず3食でどれくらいカロリー摂取できているかが栄養摂取の最初のスタートです。

次に栄養素ですが特に不足しがちなのはタンパク質です。スポーツ選手であれば体重✖️2グラムは必要です。50キロなら100グラムです。例えば豚バラ100gにタンパク質は14グラムです。100グラムタンパク質を取ろうと思うと豚バラ714グラム必要です。400グラムのステーキでもとんでもないのに714グラムって大変な量なんです。高校生や大学生は体重✖️3グラム必要とも言われています。

食事でこの量を摂取することが望ましいのですが、そもそも量が多すぎて食べられないという問題が出てきます。

そこで必要なのは不足分を埋めるサプリメントプロテインが便利です。プロテインは1さじ一杯で30グラムあります。タンパク質含有率が高いと一杯で30グラム弱摂取できます。これは強い味方です。中学生時期であればプロテインに馴染みが無くあまり飲みたくない時はスティック型のアミンプロテインなどは携帯性も良く運動後に摂取できます。

小学生時期はそこまでは必要ないのでしっかり食事は3食とることです。中学生になり練習時間も長くハードになることから、カロリー量とタンパク質量は気をつけておきたい点です。ただしその他の栄養素ももちろん大切です。これはバランス良い食事を気をつけることである程度解決されます。

一緒懸命練習しても体が壊れてしまっては、練習効果が積み上がらないので親が一番活躍できる場面なのではないかと思います。

vol.4 休養

体育理論の基本ですが適切な運動負荷に適切な休養そして体を作る栄養この3大要素によって運動選手として成長していきます。

その中でも野球界は休養を疎かにする傾向があります。筋力のアップは最大筋力の60%以上の負荷を加えないと筋肥大が起きず筋力アップを果たせません。その適切な運動負荷を加えると筋繊維が破壊されます。その筋繊維を再構築するに休養の時間を要します。再構築は与えた負荷に耐えられるように筋肥大が起き発揮筋力がアップします。

一般的に回復までに要する時間は48時間と言われています。毎日ウエイトトレーニングしている被験者グループと2日に1回の被験者グループの発揮筋力測定では大差無いことが証明されています。怪我のリスクを抑えて最大筋力を発揮させるには適切な休養が必要ということです。

毎日練習する場合は回復期間を設けることが難しいので適切な筋力アップが望みにくくなります。また反面週末しか練習しないチームの場合は5日間休むことになるので練習効果そのものが薄れます

適時練習し適時休養をとることが特に小学生、中学生時期には重要ということです。

また別の観点からも休養が必要です。運動すると疲労物質が体内に残ります。一般的には乳酸であるような疲労物質が体内に残ります。最近では疲労すると皮膚と筋肉の間にある筋膜の水分が減り付着したり固形化することが発見されてきました。そうなると疲労軽減の速度も遅れ筋力発揮そのものを阻害することになります。

また疲労の蓄積は怪我を引き起こす要因にもつながります。疲労回復は血液循環によりなされます。血液により疲労物質を除去する効果があるます。人工的に促進するには、入浴による血液循環効果、特に38度くらいのぬるま湯で20分ほど浸かると重力からの解放、深部の体温上昇、血液循環改善、毛細血管まで血液循環などの効果が発揮されます。

人為的にはマッサージです。これは難易度が高いので筋肉の向きや手法を知らないとマイナス影響が出るので要注意です。ただしマッサージができるようになると触っただけで疲労度が分かるようになります。その疲労度の高い部分を念入りにケアすれば疲労回復に繋がりやすくなります。

ある程度簡単にできるのはストレッチです。筋肉のストレッチは血液循環促進、筋肉の柔軟性確保、心理的ストレスの軽減効果が期待できます。

これも正しい方法で行うことを推奨します。ゆっくり伸ばし意識を伸ばされる筋肉に集中し息を吐きながらゆっくり15秒が基本です。反動とつけたり力んだりしては効果半減です。

また市場では筋膜リリース商品なども出回っています。そのようなものの活用も効果的です。

休養時間確保はチーム方針によることが大きいのでコントロールは難しいいですがケアの部分は自宅でも可能です怪我を防ぎ練習効果を高めるにはトレーナー的な役割も勉強したうえで実施することも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

怪我をせず練習効果を積み上げ続けることが上達最大の方法です。

 

vol.3 運動負荷

2の戦術同様お父さんが運動負荷を加えるわけではありません、ここで理解して欲しいのはどれくらいの運動負荷が加わっているかを知ると言うことです。

運動は適度な運動負荷であれば休息と共に運動能力が向上します。しかしそれが過度な場合は傷害の原因に繋がります。

子供が小学生の場合は自分自身では運動負荷を理解することは難しく限度を超えてしまう恐れもあります。しかし野球という種目の特性上練習時間は比較的長く負担も大きいことが特徴です。

例えばどのように運動負荷を見極めるのか?それは傷害につながりやすい点からチェックしましょう。一番確認すべきは投球による肩、肘です。アメリカではピッチスマートなる投球数ガイドラインがあります。頻度、投球数共に越えている場合は傷害になる可能性が高くなります。

次は瞬発的な運動は負担が大きいです。例えば30mダッシュなど自身の瞬発力を最大限に発揮した場合は相当な負荷がかかります。

これを1日100本もやれば過剰負荷です。本気で5本も走れば適切な負荷がかかります。

漸進性の原則という理論があります。運動効果のある負荷を加えないと練習効果が表れません。負荷が強い場合は回数を少なく負荷が弱い場合は回数をこなしても効果が薄いということです。自分に合った負荷であるかどうかを知ることが重要です。

後に休養と栄養の話が出ますが今回の運動負荷を理解することにより怪我しにくいケア等を考えることができます。

またフィジカルトレーニングと技術練習では疲労度も異なります。学童野球の場合は比較的に技術練習の比率が高いため肘、肩が特に成長期ということもあり怪我しやすいので注意が必要です。

 

また野球の場合は守備練習を午前午後とも行うと相当な送球数となり肩や肘にも負担がかかります。午前守備、午後バッティングというようにメニューがバランス良く設定してある場合は良いのですが、その辺りも知っておくことが必要です。

 

子供がどれくらいの疲労度があるのかこれをおおよそ理解することが重要です。それを知ることでオーバーワークであると気づけばケアに意識が向きます。多くのチームが毎日練習する訳では無いので効果的に疲労を抜く時間があります。この時間を有効活用することで怪我の可能性を低くすることができます。障害は金属疲労に似ています。金属は同じ方向に曲げ続けると折れます。疲労が積み重なると靭帯や骨に異常をきたします。ただし正しいケアをすることで都度疲労を取り可能性を低くすることができます。また疲労を軽減する施設や治療院もあります。

オーバーワークで疲労が蓄積しているなとアラームが鳴るような見方や知識が大切ということです。

 

vol.2 戦術

監督やコーチでも無いので戦術は教えられないでしょうと思いますがこれは戦術そのものを教えるのでなく練習試合や大会での試合のシーンを振り返りポイントでここは良かった。ここはこうした方が良いなど戦況を振り返ることが大切です。

あの盗塁のスタートは良かった。どこを見てスタートしたの?とかワンアウトランナー3塁でどのような打球だったからセーフになったとか出来たことを振り返ることが重要です。もちろん課題点も振り返りますがそればかりだと野球がつまらなくなります。3つ褒めたらひとつ課題を言うくらいに留めましょう。最低でも2つ褒めてひとつ課題くらいですね。そのコツは試合の中で一番大きなミスや直してもらいたいことを絞りそれを言うために褒めることが必要になります。

褒められることは承認されることです。喜びを感じているその上で親は感情的にならず冷静に課題を伝えましょう。

例えばワンアウトランナー3塁ピッチャーゴロで突っ込んだそしてアウト、なぜ突っ込んだのか?それはどこにゴロが転がったらスタートか知らない場合はゴロが転がればセーフのなるかもしれないから思い切ってスタートするかもしれません。

知らない場合は思い切って判断したことは褒められることです。勝ちたいために行った行為ですからしかし投手よりランナーに近い内野の打球はアウトになる可能性が高いのでスタートは切らないと言うことをまず学習させることが重要です。

反面教わっていたのにスタートを切った場合は他に要因があります。それは打球を判断するタイミングと見方に問題があります。打ったら走るのでなく打球の強さ方向を判断する練習が不足しているのか判断基準を本質的に理解していないことです。チームでの練習や同じケースでの試合で今度は同じミスを繰り返さないように意識付けすることが重要となります。

たくさんは覚えられません、感情的にならず経験という階段をひとつ登る手伝いすることが大切です。

vol.1 技術練習

練習のベースはチームの指導者が行いますが、そのフォローアップをどう自宅で行うかということですが、以前にも触れました忘却曲線なる記憶の曲線ですが1週間振り返らないとほぼ忘れるというものです。技術種目である野球はいかに復習するかによって習熟度が一気に上がるというものです。

練習の中で学んだ技術をまずヒヤリングしその理解度を確認します。一部忘れていれば思い出させます。しかし覚えているだけではできません、習熟度合いを掌握しながら出来るようにしていくということです。投げる動作であれば足が着地する位置や腕を振るタイミングなどポイントを確かめながら実施していきます。

稀に指導者と全く違うことを上塗りして教える父兄もいます。練習効果的にはあまりお勧めできません、なぜならば教える度に違う情報がアップデートされ混乱を招き逆に習熟が遅れます。子供の悩みの一つです。野球は中学、高校とチームが変わり方針や指導内容も異なり適応能力は必要ですがそれとこれとは違います。何も教えない指導者の元であればお父さんが独自に教えていくことも必要ですが同じ指導項目で違うことを教えるのは少し控えましょう。成長した時にいずれやってきます。技術の取捨選択ができるようになる時が、それまでは足踏みさせるのでなくどんどん積み上げていくことです。

自宅では復習を心がけ忘却させず習熟度のスピードアップを図ることを念頭に置きましょう。