少年野球の先にある未来の扉を開けよう

学童野球ではエース、中学硬式ではショート、ボーイズ県選抜の息子と悪戦苦闘した経験を踏まえ体育大学体育会陸上部出身のお父さんが体育理論を基に野球を客観視した情報を綴っています。

子供の自信と意欲について

上達につながる指導を行い、一進一退を繰越し上達につながるのは先に何度も書いています。ある一定の条件をクリアする、それは試合や大会などでしっかり戦えると感じた時に相対的に上達していることを理解します。

それは天然の力でなく指導による技術習得の上成果が出たならば、技術練習の意義を感じより多くのことを学びたいと言う意欲が湧いてきます。そうなればしめたものです。1段ずつしか登れなかったところから1段飛ばしで登れる様になり登る楽しみを感じ始めます。

やればできると言う気持ちが湧きます。それが自信です。負けた悔しさは技術のレベル差と捉えレベルアップすることで攻略する道筋を描きます。

自信がつけば多少の厳しいトレーニングも気にならず、それ自体を受け入れる様になります。そしてその先にあるものは自分で考える力です。そこまで辿りつけば、子供は自立して育っていきます。

これを実現するには、指導者と子供の信頼関係が大切であり、階段を登る様な技術指導ができ、試合で上手く行かなかった要因は姿勢や気持ちに求めず技術や体力に要因を求めることです。そしてそれを指摘して修正する、この繰り返しで徐々に階段を登り自分を否定されない安心感から自分を解放し始めて自立していきます。これは我慢の一言です。

木や花は怒鳴っても成長しませんが土を耕し肥料をやり定期的に水をやり雑草を抜く地道に育てれば間違いなく育ちます。

人には感情があり言葉があることでどうしても感情論に頼るところもありますが、技術習得は花や木の成長と同じです。

親の熱意と子の上達の相関

野球を志す子供、日々影響するのは指導者と親の存在、いい指導者に出会うことが上達の近道であることは間違いはないのですが、それとは別に上手くなって欲しいと願う親の熱意と子供の上達には相関があります。

動機付けの記述をしたことがありますが、野球をやりたい上手くなりたいと言うベースの動機付けは指導者でなく親の存在に影響されます。勝つと言う価値観は親から伝承されます。スポーツというのは結果が出るものそこに価値観を持つ親とは過去勝ちにこだわるスポーツ人生を送っていた場合が多いです。そのスポーツへの姿勢が子の価値観に大きく影響を与えます。価値のある努力をすれば価値のある結果が生まれると言う考えはスポーツへコミットした親ならば誰もが持つ考えだと思います。

従って親の熱意が上達させようとする行動につながりそれに感化した子供はその価値観を大切に受け継ぎ野球に対するモチベーションに変換します。

これは明らかに親の姿勢熱意が子の上達へのモチベーションにつながります。これが過度ではいけませんが、同じ姿勢を持つ親子同士の会話によって親に認められると言う子にとって大切なモチベーションを野球の上達に求めます。これはある意味子育ての領域なのかもしれませんが、努力の先に成果があるということを知る教育つながります。

子に頑張れと言う親はまず自分自身の姿勢を先に確認する必要があります。子に努力せよと言う親は同時に努力しなくてはなりません。親の姿勢と努力によって子の姿勢に影響を及ぼしていることを理解できただけで素晴らしいスタートが切れると考えています。

 

状況判断は難しい

野球は突然のプレーが度々おきます。まれなプレーだとボークを宣言された後に投じられた投球の判断やランナーに出た時にバッターがバントがライナーになり守備に捕球されたりそんな時次のプレーはどうしたらいいかを考えてしまう子もたくさんいます。

野球は当たり前ですが、ホースプレーの時とタッグプレーの時も状況判断です。私は社会人になり草野球から始めたようなプレーヤーだったので慣れていないために状況判断がとても難しく感じました。野球経験者の指導者は経験が刷り込まれているためいわゆるフレームワークで対応ができます。経験値の積み上げによる判断の自動化です。しかし経験の少ない子供は私と同様に判断はとても難しいものです。判断を教えるのは非常に難しいですが、ルールを設定しそのルールを覚えさせることは動作のパターン化となり習得もしやすくなります。

ランナー3塁の場合に内野ゴロのスタート判断は難しいですが、自分からボールが離れたらスタート【1塁ゴロ】の様に習慣化されると覚えが早いです。経験値ではなく法則性に置き換えることで判断の自動化に近くなります。これが指導において重要なことです。

これは守備でも言えます。比較的速く平凡なゴロは自分の正面で捕球しスローすることがプレーの安定性につながりますが、ゆるいゴロの場合は前に出て時に外野手の様に体のサイドで捕球する場合もあります。速いとゆるいの違いを理解させどちらも正解と言うことを理解させることも大切な要素です。

バイオメカニクスと技術指導の間にあるもの

先日久々にオリンピック強化指定の陸上選手と食事会する機会がありました。私は元陸上部ですから久しぶりに自分の出身競技の話で盛り上がりました。陸上部同士の会話でよく出てくるのが走り方のイメージの会話です。

バイオメカニクスなので動画で動作分析はすでに馴染みがありますが、見えている動作は同じだが動作する意識と技術のアプローチは指導者や選手によって異なります。

ひとつの動作を極めることでタイムを競う陸上競技においては重要なことなのです。陸上選手を指導する場合その選手由来の動きの特徴を見て感じます。そしてそれを自分の体で動きのイメージします。わかりやすい言葉で表現すると憑依しているイメージです。指導対象の体の動きを総合しその上で何を改善しなくてはならないかを感覚値で共有しズレを修正します、非常にめんどくさいやり方ですがそうでもしないと選手由来の動きを修正することができません。これを野球に置き換えた場合、投球動作にしてもバッティング動作にしてもなぜその動きになってしまうのか自らが憑依し感じとり修正ポイントを掴み取ることができれば的確なアドバイスを送ることができます

 

話を戻しますが、日本トップクラスの陸上選手の技術と研ぎ澄まされた感覚はあたらめて感心しますね。動画で見える表面の動作の裏側にある要素抜き出す方法そしてそれを踏まえた指導が効果的であることは疑いがないと思います。

 

 

投球精度はアライメントによる

投手として自立するには小学生時期ではかなり大変なことです。指導技術はもとより投手として経験している時間が成長と相関があるくらい経験がモノを言うポジションです。

しかしその時間を短縮する、また中学以降コースをつく制球力を高めるならば投手としての技術を習得せねば大成する可能性が低くなります。

それを踏まえた時に重要なのは体やそれぞれの部位の位置いわゆるアライメントです。

自動車が真っ直ぐ走るのは走行方向に対し車輪が真っ直ぐを向いているからなのです。動力を発するものは全て同じ論理に支配されます。投球においても同様の論理は間違いなく働きます。セットポジションの足の位置が両足揃っているか、また足を上げつく位置は適正か?その位置が全てを支配します。真っ直ぐ投げるには真っ直ぐ足をつくことが初めの一歩です、それが統一して安定することでリリース位置も安定し体の大きな方向が安定すればあとは小さい末端の調整だけでコントロールが可能となります。全てがバラバラな子供でも運動能力で合わせる子はいますがそれでは中学以降通用しません。

セットする両足の位置、踏み出した足の位置が後ろ足の踵の延長線にあるのか?これをまず整えその後リリース位置を安定させてください。そこからです、サイドワークと変化球コントロールは、方法論で誰もが習得可能です。ここまでは学童野球の指導者が教えなくてはならない領域です。

段階を踏み遠慮せずしっかり指導して理解させることで成長が促されます。

指導者における見る力の重要性

見ると言う日本語があります。英語で訳すとたくさんの言葉が出てきます。

 see look watch と3つの言葉が出てきます。

それぞれ意味が違うのですが、指導者で重要なのは見方なのです。

seeは漠然と見えている状態いわゆる風景ですね。lookはもう少し狭い範囲を見ている状態野球観戦に近い見え方ですね。最後にwatchですが注意深く変化を感じ動きを注視して見ると言うことです。普通の指導者の見る行為はlookに近くパフォーマンスの結果の良し悪しを見ています。レベルの低い指導者はもはや選手が動いていることを漠然と見ている状態です。これはもはや指導者でなく野球自体に関心が薄い方です。watchこそ指導者に必要な見る力です。常に選手の変化を感じる力、理想のパフォーマンスとのギャップを感じ取れる力です。日々の練習や試合での小さな違いに気づくことで成果を感じられたり、不調原因を感じ取れたりします、watchする力がなければ指導者としてのレベルが上がらないと言うことです。過去の記述でも階段登ることが指導において大切だと言ってきましたが、階段を登ったかどうかを測れなければ次のステージの指導に移れないと言うことです。運動の苦手な子は登る階段が低く少しずつ登ります。その小さな変化に気づくのが難しいので運動の苦手な子を育てるには指導者としての資質が必要なのです。

watchするコツは動きの全体像から違和感を感じ取るところから始めるといいです。まずはなんとなくで構いません。何か違うな気づくことで正解への紐解きが始まります。例えば昨日投げている雰囲気が今日と違うというところからでいいんです。そこからどこに違和感があるんだろうかと念頭に置きながら見ているとおぼろげながら見えてきます。腕、手、肘、膝、足など徐々に絞れてきます。いわゆる間違い探しと同じロジックです。

最近ではスマホなど便利なツールもあります。動画を撮影してコマ送りやスロー再生で何度も見るといずれ見えてきます。その原因が。

効果的な指導は実はそこから始まるのです。ですから選手は多くの指導者が少ない人数をしっかりwatchして変化を感じ取れる状態がいい指導者環境だと思っています。なにせ野球という競技はとにかく技術が占める割合が多くその複雑さは他の競技と比較してもより複雑です。私は陸上部出身ですから単純な技術を注視して小さな動きから修正することを繰り返していたのですが野球は技術が多い為に指導者も理解仕切れずlookやseeになってしまうことも多いのではないかと感じています。

子供の小さな変化を感じてあげ成果を褒めてあげることが自身の指導技術をレベルアップさせることにつながると同時に子供を認め賛賞してあげる材料にもなり適切な親子関係を築くきっかけにもなります。

 

スランプへの対処

自分のことをまだまだ客観的に見れない小学生において、スランプは出口の見えないトンネルに入ってしまったと感じ抜け出せないまま野球をやめていくことも少なくありません。動作というのは一連の動きを持ってバランスを保っています。怪我をしたことによるイメージバランスの崩れ、部分的な筋力の低下などちょっとしたきっかけで全体が崩れることがあります。通常は技術習得により上達を繰り返しますが、上記の通り怪我などした時は要注意です。最近息子も怪我をしました。目の上を切り10針縫う大怪我でした。そこからバランス崩れバッティングも不調に陥っています。いつか戻りだろうとタカをくくっていましたが一向に戻りません、技術はそんなに崩れていないのに、バッティングセンターでは普通に打てるのにと捉え精神的な面だと認識していました。

しかし不調の原因を精神に持っていってしまうと抜け出すのが大変になります。改めて動画を怪我後と怪我前をコマ送りしながら何度も見比べました。そうしているうちに本人のボールを捉える感覚と実際のミートポイントがずれていることに気づきその動作を生む誘発要因を探りました。バットのヘッドの角度、ヘッドの軌道、後ろの手のフォローなどあらゆる点を見たところ1点だけありました。打つ時にバットを引く動作で肘の角度に違いを見つけました。強く打ちたいと力感を付けるフォームを模索していましたがそれがフォームのバランスを崩していた模様です。

本人にはその違いを静止画にして見せました。原因を本人も理解した様です。これからその原因に対し修正するトレーニングを行います。正解かどうかは今後も試合の結果を見てまた報告します。

ここでの結論は不調な時は何かバランスを崩していると仮説立てること小さい変異に注意すること、結果から原因を導き出すこと、その原因を客観的に見せることがこの事例からの解決策です。我が子がスランプの時に役立ててください