少年野球の先にある未来の扉を開けよう

学童野球ではエース、中学硬式ではショート、ボーイズ県選抜の息子と悪戦苦闘した経験を踏まえ体育大学体育会陸上部出身のお父さんが体育理論を基に野球を客観視した情報を綴っています。

バイオメカニクスと技術指導の間にあるもの

先日久々にオリンピック強化指定の陸上選手と食事会する機会がありました。私は元陸上部ですから久しぶりに自分の出身競技の話で盛り上がりました。陸上部同士の会話でよく出てくるのが走り方のイメージの会話です。

バイオメカニクスなので動画で動作分析はすでに馴染みがありますが、見えている動作は同じだが動作する意識と技術のアプローチは指導者や選手によって異なります。

ひとつの動作を極めることでタイムを競う陸上競技においては重要なことなのです。陸上選手を指導する場合その選手由来の動きの特徴を見て感じます。そしてそれを自分の体で動きのイメージします。わかりやすい言葉で表現すると憑依しているイメージです。指導対象の体の動きを総合しその上で何を改善しなくてはならないかを感覚値で共有しズレを修正します、非常にめんどくさいやり方ですがそうでもしないと選手由来の動きを修正することができません。これを野球に置き換えた場合、投球動作にしてもバッティング動作にしてもなぜその動きになってしまうのか自らが憑依し感じとり修正ポイントを掴み取ることができれば的確なアドバイスを送ることができます

 

話を戻しますが、日本トップクラスの陸上選手の技術と研ぎ澄まされた感覚はあたらめて感心しますね。動画で見える表面の動作の裏側にある要素抜き出す方法そしてそれを踏まえた指導が効果的であることは疑いがないと思います。

 

 

投球精度はアライメントによる

投手として自立するには小学生時期ではかなり大変なことです。指導技術はもとより投手として経験している時間が成長と相関があるくらい経験がモノを言うポジションです。

しかしその時間を短縮する、また中学以降コースをつく制球力を高めるならば投手としての技術を習得せねば大成する可能性が低くなります。

それを踏まえた時に重要なのは体やそれぞれの部位の位置いわゆるアライメントです。

自動車が真っ直ぐ走るのは走行方向に対し車輪が真っ直ぐを向いているからなのです。動力を発するものは全て同じ論理に支配されます。投球においても同様の論理は間違いなく働きます。セットポジションの足の位置が両足揃っているか、また足を上げつく位置は適正か?その位置が全てを支配します。真っ直ぐ投げるには真っ直ぐ足をつくことが初めの一歩です、それが統一して安定することでリリース位置も安定し体の大きな方向が安定すればあとは小さい末端の調整だけでコントロールが可能となります。全てがバラバラな子供でも運動能力で合わせる子はいますがそれでは中学以降通用しません。

セットする両足の位置、踏み出した足の位置が後ろ足の踵の延長線にあるのか?これをまず整えその後リリース位置を安定させてください。そこからです、サイドワークと変化球コントロールは、方法論で誰もが習得可能です。ここまでは学童野球の指導者が教えなくてはならない領域です。

段階を踏み遠慮せずしっかり指導して理解させることで成長が促されます。

指導者における見る力の重要性

見ると言う日本語があります。英語で訳すとたくさんの言葉が出てきます。

 see look watch と3つの言葉が出てきます。

それぞれ意味が違うのですが、指導者で重要なのは見方なのです。

seeは漠然と見えている状態いわゆる風景ですね。lookはもう少し狭い範囲を見ている状態野球観戦に近い見え方ですね。最後にwatchですが注意深く変化を感じ動きを注視して見ると言うことです。普通の指導者の見る行為はlookに近くパフォーマンスの結果の良し悪しを見ています。レベルの低い指導者はもはや選手が動いていることを漠然と見ている状態です。これはもはや指導者でなく野球自体に関心が薄い方です。watchこそ指導者に必要な見る力です。常に選手の変化を感じる力、理想のパフォーマンスとのギャップを感じ取れる力です。日々の練習や試合での小さな違いに気づくことで成果を感じられたり、不調原因を感じ取れたりします、watchする力がなければ指導者としてのレベルが上がらないと言うことです。過去の記述でも階段登ることが指導において大切だと言ってきましたが、階段を登ったかどうかを測れなければ次のステージの指導に移れないと言うことです。運動の苦手な子は登る階段が低く少しずつ登ります。その小さな変化に気づくのが難しいので運動の苦手な子を育てるには指導者としての資質が必要なのです。

watchするコツは動きの全体像から違和感を感じ取るところから始めるといいです。まずはなんとなくで構いません。何か違うな気づくことで正解への紐解きが始まります。例えば昨日投げている雰囲気が今日と違うというところからでいいんです。そこからどこに違和感があるんだろうかと念頭に置きながら見ているとおぼろげながら見えてきます。腕、手、肘、膝、足など徐々に絞れてきます。いわゆる間違い探しと同じロジックです。

最近ではスマホなど便利なツールもあります。動画を撮影してコマ送りやスロー再生で何度も見るといずれ見えてきます。その原因が。

効果的な指導は実はそこから始まるのです。ですから選手は多くの指導者が少ない人数をしっかりwatchして変化を感じ取れる状態がいい指導者環境だと思っています。なにせ野球という競技はとにかく技術が占める割合が多くその複雑さは他の競技と比較してもより複雑です。私は陸上部出身ですから単純な技術を注視して小さな動きから修正することを繰り返していたのですが野球は技術が多い為に指導者も理解仕切れずlookやseeになってしまうことも多いのではないかと感じています。

子供の小さな変化を感じてあげ成果を褒めてあげることが自身の指導技術をレベルアップさせることにつながると同時に子供を認め賛賞してあげる材料にもなり適切な親子関係を築くきっかけにもなります。

 

スランプへの対処

自分のことをまだまだ客観的に見れない小学生において、スランプは出口の見えないトンネルに入ってしまったと感じ抜け出せないまま野球をやめていくことも少なくありません。動作というのは一連の動きを持ってバランスを保っています。怪我をしたことによるイメージバランスの崩れ、部分的な筋力の低下などちょっとしたきっかけで全体が崩れることがあります。通常は技術習得により上達を繰り返しますが、上記の通り怪我などした時は要注意です。最近息子も怪我をしました。目の上を切り10針縫う大怪我でした。そこからバランス崩れバッティングも不調に陥っています。いつか戻りだろうとタカをくくっていましたが一向に戻りません、技術はそんなに崩れていないのに、バッティングセンターでは普通に打てるのにと捉え精神的な面だと認識していました。

しかし不調の原因を精神に持っていってしまうと抜け出すのが大変になります。改めて動画を怪我後と怪我前をコマ送りしながら何度も見比べました。そうしているうちに本人のボールを捉える感覚と実際のミートポイントがずれていることに気づきその動作を生む誘発要因を探りました。バットのヘッドの角度、ヘッドの軌道、後ろの手のフォローなどあらゆる点を見たところ1点だけありました。打つ時にバットを引く動作で肘の角度に違いを見つけました。強く打ちたいと力感を付けるフォームを模索していましたがそれがフォームのバランスを崩していた模様です。

本人にはその違いを静止画にして見せました。原因を本人も理解した様です。これからその原因に対し修正するトレーニングを行います。正解かどうかは今後も試合の結果を見てまた報告します。

ここでの結論は不調な時は何かバランスを崩していると仮説立てること小さい変異に注意すること、結果から原因を導き出すこと、その原因を客観的に見せることがこの事例からの解決策です。我が子がスランプの時に役立ててください

効果的な指導のタイミング

上達するには技術指導と反復練習が必要ということと詰め込み教育は良くないことは以前にもお伝えしてきました。しかしいつ教えたら効果的なのかということはあまり知られていません。ではどんな時に必要としているのかまたはいつ指導すべきか?それは求めている時です。

それは当たり前だろと思いますが、でもそのサインを見逃すがどうかが大切です。ではサインはいつ出ているのか。ひとつは試合でミスした時やうまくいかなかった時です。しかし多くの指導者やお父さんは上手くいかなかったことに苛立ちお互いに感情をコントロールすることに一生懸命になります。ですが試合でミスをするということは何らかしらの原因があるからなのです。怒る。叱ることも必要ですが時にはミスした要因を分解して何が原因かを突き止めましょう。そこに技術的な要素があるのであればそこがポイントです。子供はなぜ上手くいかなかったのかはあまり深く考えません、でもそこに歩み寄りなんで上手くいかなかったのだろうか?と質問インタビュー形式でヒヤリングしていきましょう、間違っても感情的にならないようにししましょう、歩み寄るコーチ歩み寄る父親子供にとってみれば心強い味方だと思います。味方だと思えば心を開きアドバイスに耳を傾けます。そこでお互いが納得いく問題点を共有しその問題点を解決する練習をしようと結ぶわけです。そうなると次の練習では身が入り改善意欲が出てきます。その意欲が技術習得を早めミスを通じて成長していきます。

子供が苦しんでいる時に追い打ちをかけても何も出てきません、反対に拒否反応を示すかもしれません。

この繰り返しが不可能を可能にできるという思考に変わりスポーツ選手としてはプラス思考に変わっていきます。試して見てください

長いレベルスイングについて

前回はバッティングのミートポイントについて触れました。今回はミートする上で重要なスイングの軌道について触れてみます。

バッティングは投手と言う相手があるためコースやスピードなど毎投球変化します。変化に対応できることが打率を上げるコツになります。

ではどのように対応すればいいのかポイントを下げることは変化を捉え対応する手法の一つですが小学生の間はなるべく前さばきの方がいいと前回も伝えています。

ではどうやって変化に対応するのかと言うことですが、それは長いレベルスイングをすることです。投球は投手から捕手のミットまで直線で軌道を描きます。それを仮にダウンスイングすると接点は点になります。その場合少しでもタイミングがズレれば当たらなくなります。しかしレベルスイングが長ければ長いほど投球の軌道に対し線で捉えるので多少タイミングがずれても当たります。しっかりバットの芯に当たりさえすればタイミングが遅れた場合は流し打ちになるし早い場合は引っ張りになります。ある有名なプロ選手はバッティングはセンター狙いでタイミングが遅れた打球が流し打ちになる、だから一度も流し打ち狙ったことがないと言ってました。

この選手流し打ちの名人と言われた選手です。この発言からもレベルスイングの重要性を推し量ることができます。

またレベルスイング右バッターであれば右手のスイングの返しが早いとレベルスイングは短くなり返しが遅れて右バッターであれば体の左斜め前方でバットが切り返しされることでレベルスイングが長くなりますこれができれば打率が上がります。

バッティング ミートポイント

巨人の阿部選手2000本安打達成しましたね。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6250388

 

阿部選手が活躍している最盛期の時のバッティングは最先端の技術と言われて来ました。引きつけて後脚の前で打つフォームがもてはやされました。元ヤンキースの松井選手も同様のフォームです。プロでは体がしっかりできているので前足を踏み出す力にあまり頼らなくてもいい。変化球の見極めはポイントが後ろの方が有利。などが言われており、その有効性も知れ渡ってます。

小学校ではそれが正解とは言えません。変化球がなくまずは精一杯使える力は使いできる限りバットを投げ出すイメージでポイントを前にして打った方がいいと考えています。しかしコースやスピードはある程度バラツキがあるのでその変化には対応できなくてはなりません。グリップが前に来てその後ヘッドが遅れてくるフォームであることが大切でさらにはレベルスイングの長さが長い方がミートポイントが長く取れます。ミートポイントさえできていれば後からポイントを下げることも難しくありません。まずは体の力をめいいっぱい使い体の前でミートししっかり飛ばす事を小学校時代はおすすめします。

飛ばす楽しみを追求することが大切に思います。そのためには正しいレベルスイングの習得が重要です。

 

次回長いレベルスイングと言う事を深掘りしていきたいと思います