少年野球の先にある未来の扉を開けよう

学童野球ではエース、中学硬式ではショート、ボーイズ県選抜の息子と悪戦苦闘した経験を踏まえ体育大学体育会陸上部出身のお父さんが体育理論を基に野球を客観視した情報を綴っています。

上手くなりたいと思う動機付けについて

野球選手は上手くなりたいと思い努力を続けます。しかし小学校のうちは上手くなること自体あまり理解せず上達に必要な動機付けが上手くできないことがあります。

そうするとただ漠然と練習をこなすこととなり夏休みのラジオ体操の様に参加することが目的となります。ハンコを集める動機と同じならばもはや進化はみられないでしょうね。

そもそも上達を意識することで競争を意識するようになります。学校行事も結構競争を意識することも多いのです。徒競走は上位で賞状をもらえます。息子の小学校では持久走大会で上位入賞はメダルをもらえます。

それは名誉であり、誇れる成績だからこそなのです、上達の先には名誉だったり勝利の喜びだったりした喜ばしいモチベーションを意識させることが前提にあります。

まずは大きな目標を持つことが大切です。それが動機付けのベースなります。そのような努力して上達し勝利したいと言う欲求や目標があれば指導上の動機付けもやり易くなります。

では指導の際どの様な動機付けが効果的かと言う部分ですが、練習前に今からどの様な練習をするのか、またそれはどの様な理由からかを明確にする事が重要であり、どこに向かっているのかを自覚させます。そうすることで選手は頭の中で整理され指導されている言葉を聞き理解しやすくなります。理解できると言うことは技術習得のスタートみたいなものです。

また試合や大会で上手くいかずミスなどが散見された時はそれを反省し動機付けに活用するのです。上手くいかない時は悔しいものです。できないからできる様になりたいと願いそれが動機付けのきっかけになるのです。

指導者は負けた時や上手くいかなかった時腹立たしく怒ったりする方を良く見ます。それはただの強制であり動機付けの観点から見ると大きく間違っていると感じます。

上手くいかないのは指導者の責任であることを忘れた発言と思ってください。

上手くいかないプレーを見た後はなぜ上手くいかなかったのかを反省するところから始まり原因を追求しその原因を解決すれば上達し次回は上手くいくというモチベーションを持たせることでより具体的な動機付けができるのです。練習試合などは反省と動機付けさらにはその改善に活用してもらいたいですね。

技術指導の伝え方

個別技術指導における伝えかたによって理解度も変わります。理解度が変わると言うことは上達スピードも変わると言うことです。小学校では1年生から6年生まで年度分けされており、いつまでに何を教えなくてはならないかをある程度決められています。学年が下であればあるほど簡単にわかりやすく実例を持った教え方をします。そのツールとして指導要領やアンチョコなどが完備されています。

野球においてはその様な体系化された指導要領なども無く各々指導者の経験に従って指導が行われます。

ここではその全体像や指導要領でなく小学校低学年で教わる指導方法を元に野球技術を教える手法について触れたいと思います。

 

指導手法として、言葉で伝える、見本を見せる、体を補助してあげる、動画を見せるなど伝え方はたくさんあります。

 

人には5感があり、5感をフルに活用して情報をインプットさせることが有効です。本を読むよりは他人に説明してもらった方が聴覚を使います。見本を見せることは視覚に訴えかけます。実際に体に触れ指導することで触覚に訴えかけます。

 

ではどの様な手順で指導することが効果的かと言うと、まずは動機付けです。なぜ今この指導を受けるのかそれを明確にすべきです。あの時の試合で打てなかった理由はとかあの試合でストライクが入らなかったとか課題を明確にしその原因を理解させそれを解決させるために今から技術を教わると言うことを理解させ教わる体制を作ることが動機付けです。

次は実際に動作をさせ、その動作のうち何に課題があるかを具体的に理解させましょう。ここで動画など客観的に見えるツールを使うのは効果的です。

その次に実際の動作を教えます。動作を教える上で重要なのは手先の細かい動作を先に教えるので無く大きな動作から教えます。体幹を使う動作や正しく立つなど大きな動作から小さな動作へこれが基本です。なぜならば運動というのはそもそも速い強いエネルギーを走りに代えたり投球に代えたりするのが運動です。なので大きな力を生む動作が間違っていると小手先を治しても根本的な改善や上達には繋がりません。

大きな動作から小さな動作これを理解した上で指導開始です。

技術を伝えるコツは動作自体を教えることも大事ですがドリルのように結果その動きができている様な導入がスムーズな導入です。

ドリルの時に注意することは位置を理解させることと動きをイメージすることが大切です。位置とは投球時足をあげる高さや足をつく位置など動作の位置づけです。それを理解することで何度も同じ動作がやり易く再現性が増します。そしてイメージですがこれは擬音語を使います。シュッとかビュッとかブーンとかです。動き動作に動きのスピードを擬音語で伝えることで動作の質を理解する効果があります。

 

やる気、イメージ、基準 これにて技術指導しその後指導した本人から復習の意味でビフォアフターで何が違ったかを話しをさせそして何を学んだかを話しをさせることで理解度が増します。

 

技術指導にはこの様なコツがあります。これらを実践することが上達の近道なのです。

 

キャッチボールの重要性

野球の練習の始めに行うキャッチボールですが、さてどの様に取り組んでいるのでしょうか?ウォーミングアップのひとつと捉えている方、肩を温めるためと思っている方どちらも認識がずれています。

ボールを捕って投げるだけですが、試合中の守備は全てボールを投げて捕るしかありません練習の度行うものです。この取り組みひとつで上達スピードが加速度的に上がります。投手にとってみればここでしか練習はほぼできないのです。小学校のうちは投球練習などあまりやりません、なのでキャッチボールが全てなのです。

立った状態が左右上下にブレていないかどうか、正しい位置に足を踏み出しているかどうか、腕の振りは正しい振りかどうか、リリース位置は正常か、下半身のリードと上半身の回旋のタイミングが合っているかどうか、これ全てキャッチボールでできていなければマウンド立ってもストライクなど入る訳ありません。

野手ではどれだけ実戦に近い補給ができるかどうかが鍵です。キャッチする位置は補給を意識した箇所で補給できているかどうか、握りかえるタイミングは適正か、ボールの勢いを生かしたに握りかえか、勢いと喧嘩した握りかえか。送球する時のトップの位置は適切か、肘が上がっているか手のひらの位置は適切かどうか。グローブの手の位置は体の回旋を生かせる位置かどうか、そしてステップは実戦を意識したフロントステップになっているかどうか、最後に送球前の肩の位置は送球先に対し真っ直ぐかどうか、などキャッチボールで確認すべきポイントをチェックできているかどうかが上達の鍵を握ります。皆さんのチームでキャッチボール時に話をして見ていない指導者を見かけたら残念ですが、ご自身の自宅で補習を行なってください。これができなければボール回しなど連携した練習などできる訳ありません。

体の向きと使い方を覚える唯一の練習と言っても過言ではありません。

 

これができればゴロの取り方とフライの取り方さえ覚えれば守備の基礎はほぼ習得されたことになります。

 

それだけ重要な練習と思い取り組んでください。仮にキャッチボールに無関心な指導者であったならば指導者は選べませんので自宅や自主練で子供との技術の会話を楽しみながら教えてあげてください。

バッティング指導の実例

先日息子の小学3年の動画を懐かしく見ていました。今見ると思わず笑ってしまう程です。簡単に言うとただ降っていると言う状態です。当時はまだ技術的な指導はしておらず思い切って振るようにと言うレベルです。ではそこから実際どのように指導したかと言う足跡ですが、一番初めはスイングプレーンを作る動作です。ヘッド先に開くドアスイングの防止です。体の回旋合わせ手首先に出て遅れてヘッドが出てくるドリルを繰り返しスイングの流れを作ることです。このスイングがモノになると流し打ちも得意になります。次のプロセスはトップの位置作りです。前足を踏み出した時前足と手首の位置が離れていればいるほどエネルギーが溜まっている状態です。それを作るためには耳の後ろあたりで構えることを覚えさせました。ここまでで1年半掛かっています。

しかしここからは投手になるための投球フォームも同時で習得しなくてはならないのでバッティングの技術を遅らせました。結果小学生時に早い肩の開きや割れの技術、後脚と腰の回旋技術や長いレベルスイングなども引退後でした。技術習得は時間が掛かるものです。私自身の指導力習得の時間とも比例しています。現在中1になりようやくバッティング技術の習得の基礎習得が終わるところです。地道にやれば積み上がるものだと感じています。

2年くらいかけながらじっくり教えることをお勧めします。我が家では結局3年以上かかってしまいました。それも今ではいい思い出です。

 

全習法と分習法の使い分け

練習の方法に全習法と分習法の2通りあります。これを使い分けることで練習効果が高まります。動きを分解して教える方法が分習法で一連の動きをまとめて教える方法は全習法と言います。投手の投球を例えに説明してみます。

腕の振りを分解しながら教える方法は分習法です。腕の動き反対の腕の動き上半身の動きを習得する。これとは反対にヒップファーストの様な下半身の動きこれを別々で教えてどちらもできる様になったら動作をジョイントさせて一連の動きとして練習する方法が全習法です。

これを理解せず全習法ばかりを指導する指導者が多いことも事実です。

以前にもお伝えしましたが、野球の動作は難しい動作の連続なのです。ひとつひとつをパーツとして教えてジョイントするこの流れを覚えて下さい。

また違うケースでも当てはまります。ケースノックは全習法、キャッチボールは分習法とも言えます。全習法の良いところは一連の動作や他人との体系練習など実践に近い練習です。そのため本番を想定した練習とも言えます。ケースノックするにはボールを捕る動作や相手に投げる動作はキャッチボールの動作です。そもそも分習法ができないと次の段階へ進めないのです。

それを踏まえ部分動作と一連動作を交互に繰り返し目的意識が育つ練習を心がけましょう

子供が野球動作を理解するツール

運動における動作分析する方法の事をバイオメカニクスと言います。ある一定の基準で動画を撮影してどの様な動作がどの様なパフォーマンスに生かされるかを見つける学問です。特殊な機材がなければそもそも難しいと思われて来ましたが、現在においてはスマホで十分な動画が撮影できます。

iPhone ならばスロー撮影も可能ですしコマ送りも自由にできます。このツールを使いながら投球バッティングなど動画を撮影してコマ送りで見ます。一連の動作では見えなかった細かな動きが見えてきます。これと見本となる動作を見比べるのです。今ではプロ野球選手などのスロー解説書などもたくさん発売されています。これとの比較から何が違うのかを紐解いていきます。これは説明する側が一連の動作を理解する必要はありますが、子供との二人三脚での勉強は楽しいものです。親子で動画を見ながら何を改善しなくてはならないかを考えて見ましょう、運動動作においてはパフォーマンスを行なった後20秒以内に動画を見たりアドバイスを送ったりすると動作とイメージが感覚として残っているので効果的な指導につながります。自分で思っていることと実際の動画ではほとんどの場合にズレが生じます。これはかなり効果的な指導法です。我が家でも常に動画を撮り見せながらズレてきた技術を修正しています。

プロ野球選手でもスランプに陥ることがあります。左右非対称の動作で行う競技ですから少しずつズレていきます。毎日見ているコーチなら少しの変化も見逃しませんが、プロ野球のコーチも入れ替えも激しく常に見てもらえる環境ではないのです。

イチロー選手は道具を変えないことで自分が変化している事を認識しそのズレを直していくことは有名ですが、動画を見ながら修正することでその代わりにもなります。

あと親としてはその動画の積み重ねが子供の進化の足跡になり大変いい思い出にもなりますよ。

技術を1回で教えるのはひとつが原則

自分の息子を見ると小学校の間はたくさん欠点が見えます。なので見えたことを全部言いたくなります。それが試合で負けたとするとなおのこと言いたくなります。

感情に任せ言いたいことを言うことは必ずしもプラスには働きません。

なぜならばたくさんの技術における情報処理する能力はそれほどありません。できて一つです。たくさん言ってできないよりも一つだけ言って習得した方が結局近道なのです。また都度たくさん言うことは子供のモチベーション低下につながります。大好きなお父さんに言われたことはなんとかやって習得したいのが子供の心理ですができないものは出来ないのです。努力すれど上手くいかないしかしお父さんは毎回たくさん課題を出す。いずれ子供が諦めお父さんから言われることに慣れお父さんをどう攻略するかと言う思考が働きます。そうなれば上達も期待できません。

毎度課題はたくさん見えてもグッと我慢して一番影響が大きく習得してメリットの大きい技術を教える様にしましょう。それも簡単に伝え理解することでチャレンジする力が湧いて来ます。一つならなんとかできるんです。以前書きましたが上達が遅い子にはとにかく砕いてわかりやすく伝えます。1年間は52週あります。毎週1個だとしても1年間たてば52個の技術を習得することになります。これは劇的な進化です。運動が不得意な子でも劇的な変化が起きます。この法則を知れば毎週の野球はお父さんも子供も楽しみになります。なぜならば毎週進化できるからです。

いくつもいりません。ひとつでいいんです。丁寧に地道に指導していきましょう。

子供はきっと喜びます。